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2015.06/14(Sun)

【月刊少女野崎くん】別冊ラブロマンス3 エア新刊出しますた。【のざちよ】

 本日別ロマ3ですよ。お祭りですよ。
 のざちよに燃えに萌えてるわたくしとしては、エア参加決める以外方法がなかったわけですよ。
 たいしたものじゃないけども、画像入れたかったので、久し振りにブログにUPすることにしますた。

 おちついたら支部にもぶん投げに行きます。写真貼り付け分かったらだけど……。

 では自己満足企画、逝ってきます!!
 
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飛行機雲と青空の真ん中に


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 その日は初夏にふさわしく、抜けるような青空だった。少し汗ばむような、それでも風さえ吹けば涼しい、そんな過ごしやすい土曜の午後。

 俺は佐倉と、近所の土手を歩いていた。
「次回の『恋しよっ♡』では学校を飛び出して、土手で鈴木と陸上部を追いかけっこさせてみようかと思うんだ」
 そう佐倉に提案したら、
「鈴木くんってほんとマルチな才能だね! 陸上部とも勝負できるのっ!?」
 なんてびっくりしながらも、今回も取材に付き合ってくれた。本当に、持つべき者は佐倉だな。

 パシャリ。パシャリと。
「野崎くん、川きれいだねー! きらきらしてるよ!」
 そう言われて川沿いを、
「ここ舗装したんだねー! 歩きやすくていいね。今度のお休み散歩にこようかな」
 そう言われて遊歩道を、
「あ! ここ果たし合いにぴったりだね! あ、でも『恋しよっ♡』じゃ、そんな展開ないよねー」
 そう言われて橋の下の暗がりを、次々とデジカメに収めていった。
 佐倉が言うその展開、その希望、何としても俺がロマンチックにして織り込んでやろう。佐倉の想像の上を行く勢いで練り上げてみせようじゃないか。
 そんな決意に燃えながらシャッターを切り続けた。

 撮影も一段落し、ファインダーから目を離して、腕をぐるぐる回しながら肩の凝りをほぐしていたら、俺の右腕がぴこぴこと引っ張られた。何事かと思いつつ、いつもの角度に目を下げると、
「ねえ! 野崎くん、見て見て!!」
 そこには、笑顔で空を見上げる佐倉がいた。右手を高く上げて、空を指さす。心なしか頬は薄桃色に染まり、必死につま先立ちしているおかげで、いつもより顔が近い。
 無理な背伸びのせいなのか、華奢な身体がぐらりとかしいだ瞬間に、さらに距離が詰まって、俺の懐になだれ込んで来た。佐倉の身体を胸で受け止める形になり、そのまま腕を回して囲い込みたくなるのを、理性の力でどうにか止めて。

「な、何だどうした!?」
 思わず声が上擦った。

「ほら、飛行機雲!! すごい! 雲がくっきりしてて綺麗だよ!!」

150204_162121.jpg


 佐倉はそう言うとポケットを探り、携帯を取り出す。
「せっかくだもん、撮らなきゃ!」
 言いながら空に向けて携帯を構える、その笑顔が、本当に綺麗で。

「野崎くんは? 撮らないの?」
 問われてはじめて、佐倉に見とれていた自分を知った。
「早くしないと消えちゃうよ?」
「……ああ」
 そう答えて、デジカメを制服のポケットにしまい、逆ポケットから携帯を取り出して、ぱかりと開いた。
 デジカメは仕事用、佐倉を撮るのは出来れば仕事と無縁でありたかった。

 佐倉はというと、携帯を空にかざして何枚も写しながら「ああ、やっぱり小さいなあ。ズームにしてみよ」と、渋い顔になったり、操作に手間取ったのか難しい顔になったり、上手くいったのか笑顔になったり。
 まるで百面相だな。そう思っていたら、自然と、佐倉を中心にすえて、飛行機雲を撮っていた。

 普段は写真を撮らせてくれない佐倉の姿を、本人に気付かれないのをいいことに、何枚も何枚も、携帯におさめる。後でロック掛けてファイルに保存しよう。あ、PCにも移して保護かけておこう。念のためUSBにもバックアップ取っておこう。二つでいいだろうか。いや、足りないな。あと三つ買い足して、合計五つでどうだろう。そんな事を考えながら、何枚も、何枚も。

 騙し討ちのようで気が引けるが、佐倉の写真が増えていくのが嬉しくて、携帯を操作する手を止められなかった。すまん、佐倉。許せ。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 飛行機雲が消えたころ、このプチ撮影会は終了した。
「こんなに撮っちゃった!」
 そう言いながら、画面を次々と見せてくる佐倉。写真を見せることに夢中になっているからか、いつものパーソナルスペースを割って入ってきていることに気付いていないようだ。
 手を伸ばせば容易にその身体を囲える事実に、理性と本能と取材と称した探求心が内心で激しい葛藤を繰り広げ、結果、どうにか理性が勝利した。

 前々から思っていた事だが、どうも佐倉は、何かに夢中になると、俺との距離感が普段より近くなってしまうみたいだ。他のやつとの絡みも観察してみたが、普段の距離感を浸食することはなかった。俺にだけ、妙に近くなる。
 これって、どういう事だろう。自惚れてもいいのか、それとも、男として意識されてないとがっかりするべきなのか。

 そんな事を考えていたら反応が遅れたらしく、こちらを伺う瞳が、心配の色を帯びた。
「ああ、ホント、綺麗だな。俺にも転送してくれないか? 俺はほら、これだけだから」
 簡単な操作で、一枚だけ写した、佐倉のいない青空の写真を開くと、
「ええええ? たくさん撮ってたっぽかったのにどうしたの? 携帯調子悪いの?」
 どんな時でも、心配から入る佐倉の優しさが、本当に……いくて。

 ん? 今、何て思ったんだ? 俺。

 整合のつかない頭を落ち着かせながら、
「ん。壊れてる訳じゃないんだ。ただ、佐倉の撮った写真を貰えると、嬉しい」
 そう懇願したら、
「もちろんだよ! 全部送るね! すごい枚数だけど大丈夫?」
 と、返してくれた。本当に佐倉は優しすぎて、―― はまりそうになる。

 ん? 何だ? はまりそうって、穴にでもはまるのか? 俺。

 さっきからところどころおかしくなる思考をもてあましながら、佐倉から送られた大量の画像、その全てを、大事に大事に保存した。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 俺の携帯に、新しいフォルダがふたつ、増えた。

 ひとつは佐倉から貰った大量の、飛行機雲の画像。ピンぼけしてるのも何もかも、全部送ってもらった、佐倉の手で撮られた、空の写真。
 もうひとつは俺が撮った、佐倉だらけの空の写真。飛行機雲など二の次。ただ佐倉を撮り続けた結果、えらい勢いで増えた、佐倉だらけの写真。

 それら全てをPCにコピーして、何重にも保存したところで、ようやく安心して一枚ずつ見始めた。
「最近の携帯のズーム機能は、良い仕事するなぁ」
 なんて独りごちながら、珈琲をすする。

 ようやく俺自身で写せた佐倉の写真。
 盗み撮りじゃなくて、ちゃんと許可を得て写したい。できれば接写したいし、もっと欲を言うなら、いっそ一緒に写りたい。
 そう思いながら、写真を見続けた。

150204_162200.jpg


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 その後、接写も、一緒に写ることも、腕の中に囲うことさえも、もしくはそれ以上さえ解禁になるのだけれど。
 それは、もう少し、未来の話。




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 以下追記。

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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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