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2008.07/23(Wed)

雷 前編

これはARIAの二次創作小説です。ご勘弁な方はバックを推奨致します。
ジャンルは暁灯里です。アリア社長も少し出ますが、これもご勘弁な方はバック願います。

長くなってしまったため、ふたつに分けてしまいました。
そして今回はベタ甘!!!です。もう大変にベッタベタ甘いです。恥ずかしい位です。
「告白A・B」の後の話になりますので、二人はもう付き合っております。

それでもOK!の方、本当にありがとうございます。↓へどうぞ!

車窓より 曇天


夏の終わり、曇天の下、

いつものように呼び出して。でもいつもと違う予感がしていた、とある日の午後。


===================================



   雷   前編 



===================================



『停電のご案内』

そんな回覧板が回ってきたのは、一週間前。
今夜は、点検のため一晩中停電。
ローソクたててほわほわ幸せ気分の灯里。
数年前、アリシアさんがお泊まりしてくれた時を思い出す。
お茶と食事を用意するため、ぱたぱたと台所へ。
すっかり長くなった髪が揺れる。
棚板の立て付けが悪くなってしまって、と。
無理矢理理由をつけて呼んだ火炎之番人が、そろそろ着く頃。


本当なら棚板など、灯里ひとりで直すことができた。
でも、今夜は停電。いくらアリア社長がいるとはいえ、
まっくらが苦手な灯里には、ひとりと一匹で夜を明かすことは、
やはり無理だった。

しかも今日の天気予報は夜半から雨。晴れなら星降る夜空も見られて、
明かりがなくても多少はなんとかなると思ったのに。
夜なら、忙しい藍華やアリスも来られるかとも考えたが、
今回だけは、忙しくてすれ違いになってしまった。

 (もしかして…藍華ちゃんもアリスちゃんも、気をきかせた…つもりなのかな)

そう思うと、すこし頬が熱くなる。
ふたりが来られないとなると、呼ぶ人は、
あとひとりに決まったようなものだから。

 (でも、棚板くらいで来てくれるなんて…)

「…うれしいかも、です。アリア社長」
「ぷいにゅ~~っ!」

「でもでも!なんて言って泊まってもらいましょうか?アリア社長……」

ひとり、耳まで赤く染めながらあわあわする灯里を、
横で首をかしげながら見守るアリア社長であった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


暁は焦っていた。たしかに今日の仕事は少々手こずったが、
まさか、ここまで遅くなるとは。朝番なのに仕事上がりが20時。
もう少しで地上行きロープウェイが出る時刻。
とにかく全速力で浮島ロープウェイ駅まで駆けてきた暁は、
ギリギリ、出発直前の便に乗り込んだ。

 (ああ~~もっと早く仕事上がれるはずだったのによ~~。
  …って、こんな遅くに邪魔していいのか?
  …いくら呼ばれたとはいえだな…)

 (でも……たしか晩飯用意するって言ってたっけ……美味いんだよな…)

息を整えつつ晩ご飯に思いを馳せていると、
ロープウェイのアナウンスが流れてきた。
暁はそれを聞くとはなしに聞いていた。

それは、彼にとっては衝撃的な内容。

「本日は当ロープウェイをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
 ご利用のお客様にお知らせいたします。
 先ほど発表されました大雨および強風警報のため、本日は21時にて、
 当ロープウェイの営業を終了させていただきます。
 大変申し訳ございませんが、ご了承くださいませ。
 繰り返し、お客様にお知らせいたします…」

 (あー…天気崩しちまったか…やっぱりな……ちっと手こずったしなぁ……)

最初は何とも思っていなかった。
はた、と、重大な事実にぶち当たる。

 (21時終了って言ったよな… 今が夜8時だろ…
  もみ子んとこに着いて、飯食って、棚板直して…)

どう頑張ったって、今からARIAカンパニーに寄った後、
21時の便に乗って浮島の自宅に帰るなんて、出来るわけがない。
…晩ご飯を辞退するという選択肢は彼にはなかった。

 (つーことは、泊まらなきゃいけねぇんだよな……
  ………って。)


 (………!!!泊っっ……泊まるのかっ!!??)

『泊まる』という言葉を理解した途端、
どきん と自らの心臓が跳ねる音を聞く。

 (そっ……そんな、不届きなこと、したこたねぇぞ!)

人もまばらなロープウェイの中で、ひとり真っ赤な暁。
ひそかに踊り出した心臓の手綱を、必死につかもうとする。

 (とっ……とりあえず、理性を…たもってだな……)

あまり、自信はないが。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


地上に降り、誰もいない街中をARIAカンパニーに急ぐ。
最初は早足、じきに小走りになって。

何度も通っている道。最初は下の街が分からないため、
到着までに倍以上の時間が掛かっていたが、今ではすっかり詳しくなった。
…ARIAカンパニーまでの道程限定ではあるが。

道を急ぎながら無意識に、桜色の髪、揺れるもみあげ、満面の笑顔、
くるくるよく動く表情、綺麗に澄んだ翠の瞳を思い浮かべていた。
自分の顔に幸せが溢れていることは、彼自身も気づいていない。


だから、回りがやたらと暗く、街頭が点いていないことにも気づかなかった。


見慣れた玄関について、息を整え、気合いを入れるため頬を二度叩き、深呼吸。

 (いいか、理性を保て。平常心だ。平常心だぞ、オレ)

そして。

「たのもーーっ!」


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


ARIAカンパニーについてからしばらくして雨が降り出す。だんだん本降りに。

2Fのリビングルームで、片あぐらをかいてすっかりくつろいでいる一人と
その横でおなじく短い足を投げ出してくつろぐ一匹。
ふたりして、満腹のお腹をさすっている。

「っあ~~~………。食った食った~~~。ごっそーさん」

暁が、ご飯のあとのお茶を一気飲みした後に言う。

「いえいえ、お粗末さまでした~。…それにしても、降ってきましたね~」
「あ、わりーわりー。手動制御(マニュアル)だからよ~。ちっと暖めすぎたわ」

あまり反省の色もなく謝る。その背中をよじよじと登るアリア社長。
食後の運動のようだ。

「ほへ~そうでしたか。でも、すごい雨ですねぇ」
「そーなんだよ。おかげでよ、ロープウェイも夜9時で終いだとよ」
「ふえ~~、めずらしいですね」

食器を片づけながら応える灯里。
一瞬手元が狂って かちゃん と少し大きな音を立てた。

 (へ?)

時間はすでに夜10時を回っている。

気のせいか、暁の耳が、赤く染まっているような。
でも、あらぬ方向を見ているため、表情は覗い知れない。

「……っつーわけでだ。悪いけどよ、泊めてくれな。あぁ、土間でいいからよ」

灯里は、たぶん大照れな彼の表情を想像して、
ばれないようにくすっと笑って、食器を下げながら、

「土間なんてないですよー。ちゃんとお布団用意しておきましたから」

さりげなく爆弾発言。
たぶん真っ赤な顔でこっちを見ているであろう暁の視線を背中に感じながら、
食後のお茶の用意をする。

 (とりあえず、泊まってもらう理由、できてよかった)

さきほどまで必死に考えていた『泊まってもらう理由』が、
暁のほうから出てきた事に少しほっとした。
灯里自身が考えたものは、泊まってもらう理由にはとてもならなかったから。

ちらっと居間を盗み見ると、灯里の想像通りに頭から湯気がでそうなほどの
勢いで真っ赤になった暁が、完全にフリーズしている。

「は~~い。お二人とも食後のお茶どうぞ~」

と言いながら、煎れたての紅茶を暁とアリア社長のもとへ持って行く。
残業で疲れているのに、全速でロープウェイに飛び乗って、
無理して来てくれたであろう彼のために。
すっかり彼専用になったカップと、自分とアリア社長のカップ、
そしてティーポットをお盆に乗せて。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


食後のお茶を楽しむ二人と一匹。
雨は一向に止まない。

と、

!! 外が真っ白に染まる。数瞬の後、天地が割れるかのようにすごい音が。
気候がある程度制御されている火星(アクア)にはめずらしい、雷。

「きぃやあぁぁぁぁぁぁ~~~!!」

「ぷぷぷいにゅぅぅぅぅ~~~!!」

灯里は、ホログラムではない本物の雷を初めて目の当たりにし、
ものすごく驚いて。
思わず、抱きついたのは……アリア社長。


……一瞬の沈黙の後、抱き合って震える灯里とアリア社長を見ながら、
その部屋にいる最後の一人がぼやく。

「…このシチュエーションなら普通、オレ様の方に来るだろが」

きょとんとこちらを見ている一人と一匹。
漏れ出た自分の言葉にはっ!となり、真っ赤になる暁。
口をおさえて小さく呟く。


「何言ってんだオレ…」


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


雨音は激しさを増し、灯里にしがみついたまま、
不安そうに外を見やるアリア社長。
灯里はというと、何やら素敵んぐワードが降りてきたらしい。

「暁さ~ん。ほら、すごくないですか…?
まるで、大きな空の窓に、雨のカーテンがかかってるみたいです…」
「もみ子よ、恥ずかしいセリフは禁止だっ!!」
「ええ~~~~!」

いつものように何でも楽しんでしまうマイペースな灯里に、
暁の容赦ないツッコミが入る。
灯里につられて外を眺める暁。ふと真顔になり、

「……う~む。しかし、こんなに降るとは思わなかったな。
 オレ様が仕事上がる頃にやっと安定したからな。
 …やっぱ温度下げるの、時間食いすぎたな…」

後半は独り言のようにつぶやく。その言葉に、
彼の仕事の厳しさをかいま見た灯里は、

「暁さん。やっぱり今日、忙しかったんじゃないですか…?
 すみません、無理言っちゃって…」

アリア社長と一緒にしゅんとしてしまう。
それを見た暁は、狼狽しつつ、まくしたてる。

「いやいやいやっ!大丈夫だぞ。
 だいたい仕事上がりの目途はついていたしだな、ちょっと残業になったけどもな、
 そんなに大変ってこともなかったし、っとととととととにかくだな。
 もみ子が気にすることは何もないんだからなっ!」

そのあせりまくった様子を見て、くすっ と、思わず笑みがこぼれる。
必死になっている姿を、可愛いと思った。

 (そんなこと言ったら、怒るだろうな。暁さん)

と、大きな手が伸びてきて。

「……なにを笑っているのだ。もみ子よ」

『もみあげ』といってはばからないサイドの髪の束を、ぐいっ と引っ張り、
半眼でにらんでくる。顔が思いがけず近くにあって。

 (…あ。やば。怒っちゃったみたいです)

「はひぃぃぃ~っ!すすすすす、すみません~~~!」

その後は、やれ反省の色が足りない だの、もみあげが隙だらけ だの、
もみ子じゃありません だの、髪引っ張るの禁止です だの、
はたから見ていたら、じゃれあいとしか写らないやりとりが続いた。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


雨は一向に降り止まず、先ほどと同じく、
不安そうに灯里にしがみつくアリア社長と、
しあわせモード全開で外を見ている灯里。

ふと、彼が飲んでいた紅茶のカップに目をやると、中身がほとんどない。

「暁さん、お茶のおかわり、いりませんか?」
「うむ。くれ」
「は~い。ちょっと待っててくださいね~」

胸に抱いたままのアリア社長を暁に託し、いそいそとキッチンへ向かう。
キッチン回りもローソクを立ててあるのだが、いつもよりは断然暗い。
注意深く紅茶を煎れる。ローソクの炎がゆれて。
幻想的な雰囲気に、また灯里のしあわせモードが全開になる。


「しっかしなぁ…」

キッチンから煎れたての紅茶を満たしたティーポットを持って帰ってきた灯里に、暁が話しかける。

「停電も、今日じゃなくてもよくね?」
「はあ。でも、電気工事は一週間前から決まってましたからね。
雷雨になるとは、工事の方々も思ってなかったんじゃ…」

「…むっ?……たしか、棚板の立て付けが悪くて呼ばれたんだよな。オレ様は」

 (ぎくっ!)

「は…はひ」
「停電じゃ、暗いから、棚板の付け直しは危なくていけねぇなぁ」
「は…はひ…そ、そうですね…」

「もみ子は、一週間前から、今日は停電って、知ってたんだよな」

語句を切りながら、妙に強調して話す暁。確実に何かに気づいている。

「もみ子、お前………部屋真っ暗だと、眠れないタイプだろ」

ちょっと意地悪な笑顔。
気のせいか、悪魔的な黒い羽と黒いしっぽも見えたような気が。

「!!!いやいやいやそんなことないですよっ
 わわわわたしだってもうおおおおとなですし~………」


爆笑する暁の横で、顔を真っ赤にして弁明をする灯里。しかし全く効果はない。


とりとめない会話は続く。最近あった事や、こないだ見つけた絶景ポイントの話。

「…で綺麗だったんですよ~。今度一緒に行きましょうね」

やわらかく微笑みながら言う彼女に一瞬見とれて、あわてて

「おう」

と返事する暁。頬が少し紅潮しているのが、自分でも分かる。


激しい雨の中。アリアカンパニーの窓からもれ出る、ロウソクの明り。
幻想的なゆらめきと、楽しげな笑い声。それも、雨にかき消されて。



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「雷 後編」に続きます。お気に召しましたら↓へどうぞ。

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