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2009.05/14(Thu)

黒歴史 05 泥沼

 またもや黒くて申し訳なく思っております。そろそろ話のストックが無くなって参りました。
だいぶ書ききったようですが、書けば書くほどすっきり爽快気分から遠のくのは何故でしょう。
おかしいな。「全部吐き出してすっきりしましょう自己満足企画!」だったのですが、世の中上手くはいかないものですね。

 今回も私小説いきます。自分の中の黒歴史精算企画。
全8話予定。こちらはその第5話。

第1話は黒歴史 01 出会いを、
第2話は黒歴史 02 流れを、
第3話は黒歴史 03 新入りを、
第4話は黒歴史 04 黒く染まるをご覧下さい。


登場人物
Y=昔は気のいい母さんだった。今は教祖。その実傀儡。通称「姫」
G=人見知り我が儘ハーレム男。仕事中にサボったりふてくされたりとやりたい放題。通称「殿」
O=人当たりはいいが常に目だけは笑っていない。


 では参ります。


===================================



   私小説 黒歴史 05 泥沼



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 なんとか辞めることなく踏みとどまっていた私だったが、体調はどんどん悪くなっていく。
毎日が苦痛。それ以外に語る言葉を知らない。

 1年ほど経ったある日、全てを投げ出すかのように、やってはいけない事をした。
無断欠勤である。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 その日はベッドから起き上がれず、店に電話を掛けることも出来ず、ただ時計を見ていた。
勤務開始の時間、店から電話が来た。しかしそれに出ることもせず、ただ電話を眺めていた。
暗くなっていく部屋。その中で一人ベッドに横になりながら、何も考えることなく、ただただ時計の針が進むのをぼんやりと眺めていた。
店からの電話はそれから何度も来ていたが、その全てを無視してしまった。出たところで何を話せば良いというのだ。

 夕方、唐突に家のチャイムが鳴った。何事かと思ったが、居留守を決め込んだ。どうせ布団の売り込みとか新聞の勧誘とかだろう、そう思っていた。
 しかし。

 どんどん。どんどんどん。

 チャイムだけでなく、扉を叩く音がする。しかも。
「どうしたー。出てこいー!中にいるんだろう?」
まぎれもなくYの声である。
聞いた瞬間、家の中で固まった。幸い電気は付けていない。カーテンも開けていない。車が外に停めてあるせいで、私が家に居るとは分かるだろうが、このまま黙っていれば「歩いてどこかに出かけている」とでも思って帰ってくれるのではないか。そう思って、いや願っていた。
帰れ、早く帰れ。ただひたすら念じながら、家の中で息を殺していた。

 しばらくたった後、外が静かになった。ようやく引き上げたようだ。ほっとしたのも束の間、今度は携帯が鳴り出した。着歴をみるとYの名が。30秒のコールの後、自動的に留守電になった。それを枕の下に押し込んで、私はため息をついた。
いいかげん、ほっといて欲しいんだが。
 同時に、明日は店に行き、はっきりと「辞める」と言おう。そう思った。もうこれ以上こいつらと付き合っていくのは無理だ。できれば二度と関わり合いたくない。

 コールは何度も何度も来ていたが、全て無視していた。しばらくして、ようやく諦めてくれたのか、携帯が静かになった。
一息ついてようやくベッドから抜け出し、ぼんやりとテレビを見ていたところ、唐突に違う着メロが鳴った。飛びつくように枕の下の携帯を取り出し、すぐに出た。それは当時の彼氏(今の同居人)専用の着メロだったからである。

「今日、無断欠勤した?」と唐突に聞かれ、言葉に詰まる私。私より先に家を出ているのだから、彼がその事実を知っている訳はないのに。……あいつか。あいつがそっちに行ったのか!
「今、Yさんと何だか分からない男が来てね、キミがいきなり休んだんだけどどうしたって詰め寄るから、よく分からないけど明日は必ず行くと思いますよって答えておいたよ」
申し訳なく思い、何度も謝った。彼はそれを許してくれ、「今日はゆっくりしてなさい」と言われて電話は切れた。
 会話が終わった瞬間、黒い怒りが腹の底から吹き上がった。はらわたが煮えくりかえるとはこのことだ。無関係の彼まで巻き込んで。
 どこまで暴走すれば気が済むのだ奴らは。

 夜、帰宅した彼から聞いた話によると、いきなり訊ねて来て私の様子を根掘り葉掘り聞き出そうとし、それに失敗。次は彼の弾劾を始めた。曰く「貴方はH(=私)のことをなんにも分かってない。でも私は分かってる!」「Hを駄目にしたのは貴方だ。貴方のせいでHは駄目になった」……だそうだ。

 呆れすぎて何も言えない。確かに本日は私が悪かったが、何故それが彼のせいになるのだろう。その思考回路が読めない。彼はというと、初対面だというのに相対した途端まくしたてるYにどん引きしたと同時に、後ろに立っているだけのGについて「あいつなに?かなりムカついたんだけど」と、温厚な性格の彼にしては珍しく初見で立腹していた。何でも、黙って立っているだけだったのに、無言で威圧しようとするらしい。ひたすらガン見されてかなり不愉快だったと言っていた。

 もう無理だ。絶対に許さない。私だけならまだ我慢も出来た。しかし彼にまでこんな迷惑を掛けるなんて、何を考えているのだ。
確かに私が悪かった。今日のことは言い訳するつもりもない。だが、どうして彼の職場に乗り込んで、しかも彼自身を糞味噌に言う必要がある?私の事を彼に糞味噌に言うのはまだ我慢もできた。しかし、彼自身のことを、彼に向かって言うなんて、しかも初対面だぞ。

 かなりどす黒いなにかが、私の腹の中でのたうち回っている。怒りと呼ぶには黒すぎるそれを何とか押さえながら、無理矢理就寝した。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 次の日。
 私はいつもの時間に、同じように出勤した。違うのはその心中だけだ。いつもは鬱屈した気持ちで嫌々出勤していたというのに、今日はどちらかというと爆発前、「辞める」その一言が言える瞬間を今か今かと待っている状態だ。まるで祭りの前にも似た高揚感。

 スタッフに昨日の所行を謝っていたら、案の定Yに呼ばれた。決意してYの前に行ったところ、何故か店の中ではなく、隣の茶店で話をしようと移動するY。……別にここでぶちまけてもいいのだが。

 茶店について着席してすぐに、昨日の無断欠勤を謝った。そして「これ以上勤務するのは無理です。もう辞めさせて下さい」とだけ話した。これ以上、Yに語る言葉を私は持たない。

「どうした」だの「何があった」だの「店長が何かしたのか?」だの「スタッフの誰かなのか?」だの。自分のせいだとは思っていないYは、矢継ぎ早に質問をぶつけてくる。そのへんが失笑ものだった。ああうるさい。そう思いながら黙秘を決め込んだ。本当の理由はY、あなたのせいだ。あなたの存在が私にもの凄い苦痛を与えるのだ。あなたが辞めるか私が辞めるか、私の中ではそこまで来ているのだから、今更何を言ったところで、事態が好転するわけも無いだろう?

 しかし、なかなか解放してくれない。いいかげん店に戻って、後片付けしたいのに。できれば今日にでも辞めてしまいたいが、恐らく1ヶ月くらいは辞められないだろう。それは甘んじよう。だから早く解放してくれ。そう願っていたのだが、私の内心を聞き出すまでは、絶対に解放するつもりはないらしい。
ああああああ!めんどくさいっ!!!

 最初は「給料が少なくて金銭的に苦しい」と言って適当に誤魔化していた。後日、この嘘のせいでえらい目に遭うとはつゆ知らず。
だが、嘘の理由で納得させられる話術など持ち合わせていない。……仕方なく、言うつもりもなかったことを言う羽目になった。言わされたというべきかもしれない。途中から号泣してしまったのが自分でも不覚だった。そこで自分自身でも気付いていなかった理由を自覚した。

 要するに私は、Gに嫉妬していたのだ。
 それまで私の指定席だったYの横。それをやすやすと奪い、次には私自身を外商部門から追い出そうとし、わざわざOを手懐けてまで私を蹴躓かせることに躍起になり、最終的には辞めさせようとしている。
それはほぼ成功したのだから、このまま黙って辞めるのを高見の見物してれば良かったのに、まさかYが止めるとは思ってもいなかっただろう。Gにしては面白くない展開ではないだろうか。
それにしてもどうしてYは私を止めようとするのだろう。そんなにいい人を演じていたいのだろうか。それともミスした時の人身御供が必要なのだろうか。

 同時にひとつ聞いてみた。それは純粋な好奇心からの疑問。

「YさんはGさんに恋愛感情を持っているんですか?」

 我ながら大爆笑な質問だ。どう答えるか見物だと、多少意地悪な気持ちが頭をもたげる。
YESなら公私混同だし、旦那さんもいるというのに何やってんだ!という話になるし、NOなら何故あんな殿のような振る舞いを許しているのか、聞いておきたいとも思ったのだ。
答えはYESでもあり、NOでもあるとのこと。自分とGは男女を超えた仲であり、同時に放っておけない人物だと言っていた。自分が見放したらGには居るべき場所がないからと。あー。奴を見放したらどこでも勤まらないってYも知ってたのか。(失笑)
しかし。何だよそれ。答えになってないじゃないか。うまく誤魔化すなーいつもながら、と思った。

 結局は言いくるめられてしまった。闘うつもりで話に望んだというのに、完全に一人負けだった。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 また、いやな毎日が続く。気が滅入る。話し合ったものの、何も変わることなく過ぎる日々。
というか、無断欠勤したというのに辞めずに済んでしまった。……いっそもう一度やれば辞めさせてもらえるのだろうか。

 ある日、閉店後も帰るそぶりさえ見せない殿と姫を横目に、とにかく話しかけられる前に帰ってしまおうと必死に仕事を終わらせて、何とか撤収に成功した。帰りの挨拶だけはしないと何を言われるか分からないので、嫌々ながら外商ルームに顔を出し、「お先に失礼します」と早口に言って逃げるようにその場を後にしたのだが。

 上に行って退勤して、荷物を持って飛び出せば、晴れてこの牢獄から解放される!あせる足。しかし、Yに呼び止められた。
何か用か。さっさとしてくれ。こっちはもうあなたと話すことなど無いのだ。

 しかし、やたら深刻ぶって話しかけて来るY。心なしか、Gを避けるかのようだ。おそらく私と話すとGが不機嫌になるのではないだろうか。そんな無粋なことを思いつつ、面倒くさげに振り返ったのだが、次に聞いたのは、衝撃的な話だった。

 す、と左腕を出すY。そこには包帯でぐるぐる巻きにされた手首が。いつものように、持病の腱鞘炎でも悪化させたのだろう、とあまり深く考えていなかったのだが、それを指して一言。

「自殺未遂をしたんだ」と。

 はぁ?何いってるんだこのおばさんは。言うに事欠いて自殺未遂って。寝言は寝てから言ってくれ頼むから。そしてさらに言う。
「負けるな。闘え。そうじゃなきゃ、こうなるぞ」

 ……いや、闘えってさ。週刊ジャンプじゃねえんだから。闘うとかどうよ。それに私は自分がそこまで追い詰められているとは思っていない。だいたいその自殺未遂話だって、腱鞘炎を利用して、私をかつごうとでもしてるんじゃないのか?また騙して面白がりたいだけじゃないのか?

 それに。
 たぶん今の私は。

 あなたがそれで、例えば死んでしまったとしても、きっと悲しまないと思う。悲しめないと思う。
それどころか、せいせいしたと思ってしまうのではないだろうか。それはとても恐ろしいことだと思う。


===================================
End.
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2009.05.11.脱稿

Background Music=ALL-OUT ATTACK(B'z)

以下、あとがきです。


【More・・・】

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セルフライナーノーツ  (私小説 05 泥沼)
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 はい。もの凄く騙されまくりです。いいカモです。それはもう面白かったでしょうねぇ。バカが来る~とでも思ってやがったんでしょうか。被害妄想もたっぷり入っているのでしょうが、今更訂正する気も「いい人だった」とフォローするつもりもありません。狭量でしょう。しかしいいのです。一連の騒動で一生分の忍耐を使い果たしましたから。

 次回は「決別」
 ついに彼らと完全に別れることになります。ようやく黒い日々も終わる時が来ました。ここまで本当に長かった……。
 しかし一筋縄でいく訳もなく。

 ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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06:38  |  私小説  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

●Re: 何と言いましょうか…

長文お読み頂き、ありがとうございます。(滝汗)
黒いですよねぇ。自分でも黒いと思いますも。しかし、包み隠さずぶちまけよう!というのが、これを書く際に自分で決めたことだったので、『隠す事なく書けるのが凄い』との言葉、嬉しく思います。ちゃんと出来てたんだな自分。
とにかく「自分かわいそう話」にならないように、自分がやってしまった失敗も自分の中の黒い感情も、絶対に隠さないで書こうというのは最初から決意してました。
いやですがしかし、(なんか文節ヘン)ヨネキチさんの小説はとても勉強になります。理想論とかじゃないですよ絶対。
わたしも澄んだ心で読んでおりますもの。ヨネキチさんのARIA小説。
生きている場所が黒すぎた時に巡り会った漫画がARIAだったので、よけいに憧れめいたものを抱いてたんですね。(だからあんなにはまったんだと思うのです)

Yは相変わらずなのでしょうか。もう5年以上会っていないので、その後どうなったのか分かりません。Gも辞めて最初のうちは色々聞きましたが、最近はさっぱりです。どこかで勤めることが出来ているのでしょうか。いっそ二人で会社興せばいいんじゃね?などと、昔は冗談+黒い感情てんこ盛りで言っておりましたが、今となってはそんな感情さえもありません。無心と言い換えても可です。
……あ、また黒い。

それでもヨネキチさんのご指摘、とても学ぶところが多く、ありがたく思っております。書いている時は当時を思い出してただただ黒くなっておりましたが、Yに対してそのように思う心が、自分の中にはありませんでした。相手を顧みる精神的余裕がないというのはいかん事です。当時は追い込まれていたせいで……という事実もありますが、今ならあの時とは違った感慨を持てるかもしれません。

最後まで書き上げたら、何か変われるかも。そう思いながら、残りを書き進めて行こうと思います。
近日中にUPしますので、お暇な時にお読み下さい。また感想なんて頂けると嬉しくて歌ったり踊ったりします。(←しなくていい)

真剣に読んで下さって、本当にありがとうございましたっ!心の底からでっかい感謝です!

相模水門 | 2009.05.17(日) 01:16 | URL | コメント編集

●何と言いましょうか…

これまでの黒小説と共に一気に読ませて頂きました
こう言っては本当に失礼だと思いますが、ホント黒いですね…(汗)
人間誰しも「黒い部分」ってあると思うんですが、それを隠す事無く書けるのは凄いと思います
今更ながら、自分の小説がアマアマの理想論に思えて来ました
(あっ、制作意欲が無くなったとかは無いので、ご心配なされないようにお願いしますね)
そして、Y氏がかわいそうに思えて来ました
決して、相模さんに黒い感情を持たれている事や、倒れるまで無理をした事などへの同情ではありません
自分が正しいと信じ切っている事、自分が間違っているのではないかという事に気付かない事への同情です

人間は神ではないし、神にもなれないモノです。間違ったり、失敗するモノです
けど、私は間違ったり、失敗したりする事が悪いとは思いません
だって、失敗や間違いを犯した事により正しい事に気付く事もあるし、どん底に落ちてみて初めて綺麗なモノや(希望の)光の存在に気付く事だってあると思うんです
それに、失敗や間違いを重ねながら試行錯誤していく事によって人間は進化を遂げて来たんじゃないでしょうか?

これまで読ませて頂いた中でのY氏の行動は、自分の間違いを見て見ぬ振りをしてしまっているのではないか、自分のミスを認められないのではないか…そう思ったら、「何て、かわいそうな人なんだ」と思えて仕方がありません
だって、Y氏が自分の行動を省みない限り、彼女がそれ以上成長するって事は無いんですから
人間が成長を止めてしまえば…進化を止めてしまえば、停滞するのではなく、むしろ退化すると私は思います
今この時も彼女は自ら退化しているのかもしれない。
そう思うと本当に不憫でしかないです

Y氏に対し黒い感情を捨てろとは言いません。
(むしろ言えません。その様な感情を持ってしまっても仕方がないように思えますから…)
ですが、いつまでもそれに囚われるのではなく、「ああ、アイツはかわいそうな人間なんだ」とか、「アイツはああやって生きる事しか出来ない人間なんだ」と割り切れるようになって頂ければ、イイかなとは思います
相模さんに今日という日を笑って過ごして頂けたら嬉しいなと思っています


何か偉そうな事ばかり書いてますね。スミマセン(滝汗)
若造の戯言。もしくは青臭い理想論だと笑って貰って結構です
ではでは、今日はこの辺で…(書き逃げ御免)
ヨネキチ | 2009.05.15(金) 12:29 | URL | コメント編集

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