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2009.05/23(Sat)

黒歴史 06 決別

 大変遅くなりましたが、ようやくUPにこぎ着けました。

 今回も私小説いきます。自分の中の黒歴史精算企画。
全8話予定。こちらはその第6話。

第1話は黒歴史 01 出会いを、
第2話は黒歴史 02 流れを、
第3話は黒歴史 03 新入りを、
第4話は黒歴史 04 黒く染まるを、
第5話は黒歴史 05 泥沼をご覧下さい。

登場人物
Y=昔は気のいい母さんだった。今は教祖。その実傀儡。通称「姫」
G=人見知り我が儘ハーレム男。仕事中にサボったりやりたい放題。通称「殿」
O=人当たりはいいが常に目だけは笑っていない。人を蹴落とす事に必死。

 では参ります。


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   私小説 黒歴史 06 決別



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 昔々。まだ私がYに対して黒い感情を持つことになるとは思っていなかった、過去の話。
かつて、私にも「恐らくこの人と結婚するのだろう」と思っていた男性が居た。その人とまだお付き合いをしていた頃。

 その日は掛け持ちしている仕事が二つともOFFで、Yと共に、札幌の問屋に商談と本の仕入れをしに行く約束をしていた。
約束の時間は朝10時。車を走らせる私だったが、携帯に気を取られた瞬間、前方の車に後ろから追突してしまった。
前の車はそのまま左脇の店舗に突っ込んでしまい、けっこう大きな事故に。
前の車の運転手さんはむち打ちになり、すぐに病院へ運ばれて行った。わたしは軽いむち打ちになったようだがそれ以外は問題なく、また、突っ込んだ店の窓ガラスは粉々になってしまったが、店内の人々は無傷だった。

 警察と救急車を呼んだ後に保険屋さんを呼び、さらに当時の彼に連絡をした。かなり動揺しながらもそこまでしたところでYとの約束を思い出し、慌てて電話で本日の約束を断った。正直に事故を起こしたことも話して。
その時のYはとても親切で、本当に私の身を案じてくれていた……と思う。多分。

 全ての処理が終わったのは昼を少し過ぎた頃。相手の運転手さんにも病院に追いかけて行ってお詫びをし、警察の現場検証も終わった。
あとは保険屋さんが全てやってくれるとの事だった。

 店に事の一部始終を報告し、Yが居るかどうかを訊ねたが、不在だった。
どうやら私が行けないと分かったと同時にGに連絡をとり、二人で札幌に行ったらしい。
その時は申し訳ないと思いつつも、無理に連絡を取ろうとはしなかった。

 同日は街で祭りが開催されており、親会社が出店していた。そこには社員さんたちがほとんど集合していたので、報告するためにそこへ赴き、迷惑と心配をかけた旨を謝って、差し入れを渡した。社員さん達は「休みだったからなにも迷惑してないよ」だの「どこか怪我しなかったの?」と声をかけてくれた。そして差し入れを嬉しそうに受け取ってくれた。
 その後、当時の彼に誘われるままにお祭り会場を少しだけ周り、帰宅した。
……その時はすこし罪悪感を感じたのだが、それはすぐに私の中から消えてしまった。

 次の日から1週間。Yから徹底的に無視をされた。何か悪いことをしたのだろうか。……いやたしかに事故を起こしてしまったが。
挨拶しても、話しかけても、まったく反応してくれない。先日まではごく普通に会話していたのに。
それはGとはまた違った恐怖感を私に植え付けた。『Yに嫌われたら店に居られない』と密かに囁かれていた事、それは事実だと身をもって知った。しかし休む訳にもいかず、毎日店に行った。笑顔など出るわけもない。顔は常に引きつり、終始俯いたまま仕事をし、人ともほとんど会話をしなかった。

 1週間後、いきなりYに呼び出される。その時には完全に萎縮してしまっていて、今の私からは想像もつかないほどの弱りようだった。
自分でも笑ってしまうほどおどおどし、まともに目を見ることも出来ない。
 私にそれほどの恐怖感を与えることができたのは、後にも先にもY只一人だった。

「どうして私が怒っていたか、分かるか」開口一番問われた。想像はついていたが、ここは惚けることにした。
するとYは一つため息をついた後、「……お前、事故ったその日にお祭りに行っただろう」
 ……やはりそれか。当日の自身のうかつさを呪いながら、じっと暴風が収まるのを待つ。
確かに、最初は挨拶と報告のつもりで会場に行った。しかしその後、誘われるままにあちこちの店を覗いた。『遊びに行った』とは言わないが、遊んでしまったのは事実だ。
素直に非を詫びたのだが、「他の人を傷つけておきながら、自分はお祭りに行くなんて常識がない!」だの「お前がそういう奴だとは思わなかった」だの。それは非道い言われようだった。しかし言われても仕方がないことなので、黙ってそれを聞いていた。

 2時間程経った後、ようやく怒りが収まったのか口調がおだやかになってきた。
だが、その時に言われた「お前らしくないぞ」という言葉が、後々まで頭から離れなかった。
『らしくない』ってどういうことだ。言い訳をするつもりも無かったが、あなたが私の何を知っているというのだ。
 思えばその時が、初めてYに対して怒りを覚えた瞬間だった。と同時に、飴と鞭を使い分ける術に長けているYという人物を、本当に恐いと思った。

 その日以降、今まで通り仲良く接してくるYに、戸惑いつつ今まで通り接した。
しかしあの時感じた恐怖は、私の中に深く根を下ろしていた。その後はYに嫌われないように必死だった。Yの望む仕事をし、Yの望む態度を取る。それはまるで、人形のよう。かくして立派な信者が出来上がった。
 ――自分でも愚かだったと、今なら思うことが出来る。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 無断欠勤をしてから、早半年。
Oさんがはっちゃきになって外商仕事を片付けてくれるので、私はかなり外商から手を引くことが出来た。
大学の定期仕事のみ片付ければ良く、売り場の仕事に専念する日々。正直、前より少しだけ救われた気がしていた。
以前の信者だった頃とは違い、Yとは距離を置いていた。また罵倒されるくらいなら、期待されるようなことをしなければよい。
 以前見た『怒りまくるY』が、未だ脳裏から離れなかった。

 相変わらずGとは冷戦状態。というより「お互いに居ないもの」として、存在自体を無視していた。もちろん挨拶をすることもない。連絡を取り合わねばならないような仕事は全てOさんに振ったので、あとは存在を忘れてしまえば居ないと同じ事だった。
恐らく向こうも同じように考えていただろう。

 数日前から、本社から上層部の人々が入れ替わり立ち替わり店に来ては外商ルームに入り、しばらくしてから出て行くというのを繰り返してた。
おかしいと思いながらも、出来るだけ関わらないようにしていた。

 そして事件は起こった。
 通称「監禁」事件である。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 当時の店長とYは折り合いが悪く、ことある事に衝突していた。
つい先日も何かあったらしいとは聞いてはいたが、それが何故なのかは分からなかった。そういったことは、前なら包み隠さず話してくれていたのだが、例の無断欠勤以来、話してくれなくなっていたからだ。

 夜、YとGが店に戻ってきた。恐らく外回りから帰って来たのであろう。
そして店内で勤務していた、信者でもある男性社員2名が慌ただしく外商ルームに入っていった。
 しばらく経って、総勢4名が連れだって出てきて、これまた慌ただしく2Fの事務所に向かって行った。
丁度、店長が帰る時間だった。

 数分後、「休憩頂きます」と言って2Fに上がったスタッフが、困り果てた顔をして1Fにやって来た。
「……事務所の扉が開かないんです」「………………へ?」
事務所に内線してみたところ、こちらの話を聞く前に「立て込み中」と早口で言われ、叩き付けるように電話を切られた。
レンタルスタッフに確認したところ、事務所の鍵が中から閉められているため、中に入ることが出来ないとのことだった。

「――――。信じられないんですけど」事態を確認した後に私が言った第一声がそれだった。
どうにかしたくても、シンパ以外の社員はその日全員休みだったため、バイトである私達にできることなど何一つ無かった。
仕方がないので以降の休憩は書籍のバックルームで取ってもらったのだが、全員の荷物は事務室奥にある休憩室にあるため、財布を取りに行くことも叶わない。ジュースのひとつも買えぬまま、黙って座って休憩時間が終わるのを待つ。愛煙家の私にとっては、煙草も吸えなくて苦しい休憩だった。
休憩とは言えない休憩を無理矢理取って、文句も言えぬまま、また仕事に戻るアルバイトスタッフたち。
 その状態がようやく終わったのは、4時間以上経った後だったと記憶している。
唐突に西側の階段が騒がしくなった。ふと見ると信者の社員ふたりがばたばたとうるさい音を立てながら降りてきて、大慌てで外に飛び出して行った。
 その後、Gが降りてきたのだが。
……その情況が信じられない。

 あろうことか。
Yをお姫様だっこしてるぅぅぅぅ~~~~!!!!!(爆笑推奨)

 どうやら、監禁途中でYがぶっ倒れ、慌てて自宅に送り返そうとしているようだ。先行して降りてきた社員ふたりは、車を回すために慌てていたらしい。どこかのホテルかっ……という突っ込みはさておき、わたわたと帰宅していったY教信者達。
 その後、みんなに休憩を取り直してもらおうと事務所に様子を伺いに行ったところ、そこには疲れ切った店長がいた。
丁度電話の受話器を置いたところだったので、おずおずと「大丈夫でしたか?」と聞いてみた。
「いや……疲れたよ」よろよろと帰って行く後ろ姿は、朝よりも10歳は老け込んだように見えた。

 後ほど聞いた話によると相当非道い目に遭ったらしく、男3人に恫喝されたそうだ。暴力だけはふるわれなかったようだが。
 Gに至ってはまるでチンピラのようだったという。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 監禁事件の次の日から、上司の出入りはますます激しくなっていた。
そして1週間も経たぬうちに、唐突にYが店に来なくなってしまった。もちろんGも来ない。
二人残されていた信者社員のうち、一人はあれから数日後に辞職が決まっていたので、すでに店には居なかった。
そしてもう一人も、多少、どころかかなり肩身の狭い思いをしながらも、勤務し続けていた。
残されたOさんも変わらず店に来ていたが、その姿は以前とは違っていて、……まるで見捨てられたかのようだった。

 外商ルームにあった書類はおろか、そこにあったPCさえも本社に持って行かれた。
いきなり居なくなるわ、連絡は付かなくなるわ。入院したのかどうかさえも分からない。
居なくなってから二度ほど電話で直接話したが、「いつでも電話していい」と言ったくせに、その後連絡が取れなくなった。
外商だけ心配だったが、お断りは全て本社でしてくれているらしい。
 私はといえば「大学の処理だけは続けて下さい」と店長に言われた為、以前と変わらない処理を行っていた。

 Yの抜けた穴はそれなりに大きくて、スタッフの多数が翻弄される中。
あろう事か、バイトの身だと言うのに常務に呼び出されてしまった。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 呼び出されたのは私だけ。仕事中だというのに「場所を変えようか」と言われた。店では話せないことらしい。
店長と共に、店から車で15分ほど離れた喫茶店に向かった。

 そこで常務からYの勤務態度を聞かれ、私は言葉を慎重に選びながらも、ありのままを正直に答えた。
いつも朝から明け方まで店に居たこと、毎回夜中の2時くらいに昏倒していたこと、それを無理矢理送って帰っていたことや、外商の仕事といっても、何をしているかさっぱり分からなかったことなど。
それらを聞いた後、「絶対に口外しないこと」を条件に、常務が全ての顛末を教えてくれた。(だというのにここで載せてもいいのか?)

 ようするに、外商のお金の流れがよく分からなくなってしまったらしい。
金額的に辻褄が合わず、とうとう本社の監査が入ることになってしまった。だから全てを持って行ってしまったのか。
それを阻止するために、一連の騒動を起こしたようだというのが、私が聞いた話だ。その総額は6桁を超えていた。
 外商の成績を良く見せるため、ありもしない取引先をでっち上げてでもいたのだろうか。

 常務と別れて店に帰り、店長と共に休憩室に入って、思わず同時にため息をついた。
私もかなり緊張していたが、店長も少しは緊張していたらしい。
二人揃って煙草を吸いながら、腹を割って話した。恐らく初めてだったと思う。
店長も、私を『信者の一人』だと今の今まで思っていたらしく、常務の前で次々とぶっちゃける私を見て「見る目が変わった」と言っていた。

 それから私の日々が激変した。毎日が以前のように楽しく、のびのびと過ごすことが出来た。
辛いだけの日々からようやく解放された。長いこと求めて得られなかった日常を、ようやく手にすることが出来た。


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End.
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2009.05.13.脱稿

Background Music=ALL-OUT ATTACK(B'z)

以下、あとがきです。


【More・・・】

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セルフライナーノーツ  (黒歴史 06 決別)
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 かなり激しい日々でした。自分が辞めるその時まで、この居心地の悪い日々が続くと思っていたのに、終わりは唐突でした。
そのいきなりっぷりに本当に驚いたのを昨日の事のように思い出します。
いきなりYが店にやって来て、大暴れする夢を見て飛び起きたこともありました。
その夢も見なくなった頃、ようやく本当に安堵することができたのです。

 次回は「襲撃」
 ようやく安寧の日々が訪れ、心穏やかに過ごす私。
しかしそれを易々と許すYではありませんでした。

 お読み頂き、本当にありがとうございました。

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