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2009.07/09(Thu)

鍵 前編

 お久しぶりです。書くの非常に久しぶりですが、大丈夫でしょうかいろいろと。密かに自ブロ一周年記念として落下させて頂きます。ではいつもの但し書きから。


 これはARIAの二次創作小説です。ジャンルは暁灯里です。
ご勘弁な方はバックを推奨いたします。
それもまた良ろし! な御方。ありがとうございます! ↓へどうぞ!

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 彼はまだ、違う女性に憧れていた。
 彼女はまだ、恋愛の「れ」の字も知らなかった。
 そんな頃の、話。

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   鍵   前編



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「暁さんっ! これっ!」
 いきなり渡されたそれは、ARIAカンパニーの鍵だった。それは灯里の家の鍵と同義でもある。

 暁はまず、掌の中で鈍く光るそれを呆然と眺め、ややしばらくしてから、それをいきなり押しつけた家主へと視線を向けた。

「あー。えー……と。もももももみ子よ。これはいったいどーいうことだか説明しろ」
「だからっ! さっきも説明しましたよっ! もう、聞いてなかったんですか?」
「……ああ――。ええ、と。…………なんだったっけ?」
「~~~んもう! 今度はちゃんと聞いて下さいねっ!」

 どうやら彼女を少し怒らせてしまった様である。焦った暁は、幼児用の首振り人形の如く、ただこくこくとうなずきながらも、灯里の言葉を聞き漏らすまいと必死だった。

 どうしてこんなことになってしまったのか。自分でも訳がわからない。

 最初は、いつものように“アリシアさんのご尊顔”を拝しにはるばるARIAカンパニーまでやって来た。しかし、これもまたいつものように空振りに終わり、ちょっと不機嫌になった。そして、これまたいつものように、灯里の入れてくれた紅茶を渋い顔ですすっていた。本当は美味しいのに、その前に受けた衝撃がよほど大きかったのか、憮然としていた。
 彼の瞳は、正面に座る灯里の横をすり抜けて、奥に飾られた写真に向けられていた。そこにはARIAカンパニーの歴史と言っても良い写真が何枚も貼られており、その中にはもちろん、暁が敬愛してやまない“アリシアさんのお姿”もあった。
 目の前では、灯里が真剣な面持ちで一生懸命話をしていた。いつもならほわほわした顔で、季節の話題とか、どこぞの花が綺麗に咲いたとか、そんなとりとめもない事を語っていたりするのだが、今日に限ってどうも大事な話をしているようだった。アリシアに会えない悲しみを少しでも癒そうと、写真に気を取られていたのが運の尽き。いきなり渡された鍵に大いに戸惑い、灯里を立腹させることになってしまった。
 申し訳ないと思いつつ、目の前で咳払いをして再び説明を始めた彼女に意識を集中した。

「明日、アリシアさんがここに来ないことは言いましたね?」
「はい」
 強く言い切る灯里に、思わず敬語になる暁。
「どうしてでしょう?」
「たっ、たしか丸一日貸し切りの予約が入ったから……だったか?」
 間髪入れずに答える。ほとんど山勘である。
「正解です。こんなこと、めったにないんですけどね。でもアリシアさんにとって、特別なお客様のようです。たしか……」
 と、しばらく考える灯里。
(さすがオレ様!アリシアさんのこととなると神がかり的な力を発揮することが出来るのだ。どうだ思い知ったかこの愛の深さを!)
 暁は密かに、山勘が当たった事実に驚いていた。と同時に、もみ子こと灯里に、自身の愛のディープっぷりをとうとうと力説しようとした矢先、灯里が事情を思い出したらしい。
「そうそう! アリシアさんが一人前になった時に初めてお乗せしたお客様、て言ってました! ま、とにかく。明日は、お客様のところへ直接出向いて終日ご案内するという日程だそうです」
「……なるほどなるほど」
 結局、力説出来ず仕舞いの暁は、少しだけ消化不良な表情をしてしまったが、すぐに目前の話題に意識を集中する。彼は、例の『貸し切りのお客様』に軽い嫉妬心を覚えていた。
(くそう、どこの馬の骨だ! あのアリシアさんを独占するなんて。ふてえ野郎だ)
 そんな彼の内心が見えているかのように灯里が苦笑した。それを見てさらに不機嫌な顔になった暁は、その見事なもみあげを軽く引っ張った。
「何を笑っておるのだ何を」
「いたたた。髪引っ張るの禁止です!」
 たいした痛くもないのだが、条件反射でついそう言ってしまう灯里。それを聞いてすぐに暁の引っ張る力が緩んだ。
 本当に優しいんだなぁ、と思いつつ、話が止まっていることに気付いた彼女は、自らの髪を彼の手から逃がして、続きを話し始めた。

「一方私ですが、明日はアリシアさんと同じく、丸一日の予約が入っております」
 えっへん、と胸を反らせて誇り高く言い切る灯里。その足下にはいつの間にかアリア社長がおり、同じく胸を反らせて、いばりんぼポーズをしている。
「へぇ~。どこの物好きだ?」
「物好きって失礼なっ! 郵便屋さんですよ! 明日は一日集配のお手伝いなんです。どんな素敵が転がってるんでしょう! 今から楽しみです~~」
「ぷぷいにゅ~~」
 と、胸の前で手を組んで上空をうっとりと眺め、瞳をうるうるさせる一人と一匹をナチュラル無視して続きを促す。
「んで? どうしてオレ様がこの鍵を持たされなきゃならんのだ」
「それです!」
 いきなり灯里に叫ばれて、暁は椅子からずり落ちそうになった。それを意に介すことなく、握り拳を宙空に振り上げてさらに力説する灯里。何故にそう熱くなれるのか。普段全く同じ事をしているのに、自分を棚に上げまくって思う暁だった。
「明日は、アリシアさんが待ちに待っていた商品が届く日なのです!!」
「商品~~~~んんん?」
「そう! 『疲れた貴方に素敵な癒しを!全自動足つぼマッサージ機』その名も『足つぼくんウルトラスーパーDX』ですっ!!!」
「……うわぁ。すげえ安直なネーミングだな。命名者に再考するよう求めたい」
「この際、ネーミングセンスは置いといて、とにかくアリシアさんが楽しみにしていた通販商品が届くんですから、その日のうちに渡したいじゃありませんか。そう思いませんか? 暁さんは」
「うむ。そこに依存はないな」
「じゃ、決まりです。暁さん明日OFFですよね? 申し訳ないのですが、留守番お願いできませんか?」
「なっ! なんでオレ様がっ!」
「アリシアさんのためです!」
「ぐっ……!」
 灯里の言いなりになった末にこんな事態に追い込まれたと思うと、思わず反抗したくなる暁である。だがアリシアのためと言われると、断ることも出来ない彼だった。

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

 話は強引に終わった。不承不承の態で承諾した暁を横目に見ながら、灯里はすっかり無くなっていた3つのティーカップを視界の隅に捕らえ、次の一杯を用意するために席を立った。しばらくして温かい紅茶を満たしたティーポットを持ってオフィスへ向かった彼女は、そこに未だ仏頂面をしたままの暁を見出して、さすがに悪いと思い、おかわりを注ぎながら、すこし気落ちしたように謝った。
「……すみません」
「あぁ?」
 暁の返事は、内面の不機嫌を絵に描いたようだ。ちょっとひるみはしたものの、言葉を続ける。
「本当なら、配達日をずらしてもらうのが一番だって分かっているんです。でも、最近アリシアさん、お休みが思うように取れなくて。それなのに少しも疲れた様子を見せないアリシアさんを見てると、せめて疲れを取るグッズくらい、その日に受け取って渡してあげたいなって思ったんですが……」
 ここで言葉を切って、暁を正面から見すえて。
「すみませんでした。やっぱり申し訳ないので、日をずらしてもらう事にしますね」
 これが暁にとって決定打だった。そのように言われて、「ああそうですか。それならそれで」などと答えられる筈もない。青年は先ほどまでの不機嫌もどこへやら、目の前の少女に対し明日への意気込みを伝え始めた。
「いや! 全然! もう! 全く気にするな! 留守番させたらアクアで一番のこのオレ様に任せておけ! もみ子は大船に乗った気で仕事して来い!」
 もうすでに自分が何を言っているのか分からない。が、とにかく必死だった。そんな彼に思いがけない一言が投げかけられる。

「…………いやですか?」
「へ?」
「やっぱり、アリシアさんからじゃないと、鍵預かるの、いやですか……?」
「………………」
 暁は完全に沈黙してしまった。そりゃあ鍵を受け取るのは好きな女性からだとテンションも上がるが、本命じゃないとはいえ、鍵を出された瞬間フリーズしてしまったのだから、灯里の事を全く意識していないと言えば嘘になる。だからといって、それをすぐに認めることは出来ない彼ではあったが。
「でも、アリシアさんに、『暁さんに留守番お願いして、来る荷物を受け取ってもらいましょう』なんて頼んだら、アリシアさんのことだから絶対、『そこまでしなくても、自分の荷物を受け取るのは後日でいいから』って言い出すでしょう? だから……」
 言葉の語尾は小さく、消え入るようだった。
「分かった! 分かったからそんな変な顔するな! 大丈夫だ! オレ様大人だからな、これくらいちょちょいのちょいだ! いいか、オレ様が留守番喜んでやるから、今後、この話題で暗い顔は禁止だ禁止! 分かったなっ!」
 もう少し優しく言えば良いものを、毎度のごとくまくし立てるように言ってしまう。どうにも大人になりきれていない青年、それが彼だった。言われた方はといえば、先ほどまでの暗い顔もどこへやら、陽が差したように明るい表情になって、
「ありがとうございます! さすが暁さん、いつも優しいんですね」
 どうやら彼女の方が一枚上手だったようである。……と言っても本人に青年を手玉に取った自覚というものがまるで無いので、天然と言うべきなのかもしれないが。

 その日の晩餐はARIAカンパニーで社員二名と一匹と共に取った。暁はといえば、アリシアさんのご相伴に預かることが出来、かなりご満悦だった。それもこれも灯里が気を利かせてくれたお陰なのだが。それを知っている暁は帰りがけに彼女に謝意を述べると、遅くなる前に浮き島へと帰って行った。

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鍵 中編』へと続きます。

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