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2008.08/19(Tue)

自覚 後編

これはARIAの二次創作小説です。ジャンルは暁灯里です。
ご勘弁な方はバック願います。

「自覚 前編」の続きになります。
未読の方は↑を先にお読みいただけると幸いです。

夜明け前東を望む


風邪気味の水先案内人を見舞いに来て

食事だ薬だ卵酒だと世話を焼いた後。


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   自覚 後編



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食事も終わって、ひとりと一匹に薬も卵酒も飲ませて。
一段落した暁は、そろそろ帰ろうかと口を開きかけた。

すると、外からエアバイクのエンジン音がする。
瞬間、暁の心臓が跳ねた。もしかしたら。

エンジン音が止まり、扉をノックする音が聞こえて。

「は~~い!」

ぱたぱたと玄関へ向かう灯里を見送り。

かすかに聞こえる玄関でのやりとりから、自分の予想が当たってしまった事を知る。 
しばらくして、戻ってくる灯里と、後ろから見慣れたつんつん頭。

「やあ!あかつきん!」
「おう、ウッディーじゃねえか」

いつものように答えながら、内心は穏やかではない暁。
そんな彼の心情を知ってか知らずか、穏やかに話し始める目の前のふたり。

「暁さんから、ポトフと卵酒をご馳走になりまして。
 お薬も頂いてすっかり良くなりました!
 そうそう、卵酒の卵、ウッディーさんの卵を使わせて頂いたんです。
 とっても美味しかったですよ!」
「それはなによりなのだ!」
「ああ、残っていれば良かったんですが、全部食べちゃいました…」

すまなそうに言う灯里に、

「大丈夫なのだ!さっき最後の配達先さんからパンをご馳走になったのだ!
 それと一緒に、美味しそうなプリンをお裾分けしてもらったので
 お届けにあがったのだ」
「ありがとうございますっ!ウッディーさんも一緒に食べていかれませんか?」
「う~ん。これから社に戻らなきゃなんだけど、少しくらいならいいかな。
 じゃ、そうさせて頂くのだ!」

そう言いながら、暁の隣に座るウッディー。
暁は、不機嫌とも消沈とも見えるような、なんとも複雑な顔をしていた。
自分でも顔に出ていることは分かっている。しかし隠すことも出来なかった。

灯里が台所でスプーンを用意して、ぱたぱたと戻ってくる。

「さささ、暁さんも」

そう言いながら、自分の前にプリンとスプーンを差し出す彼女。

「おう」

いつもよりも横柄に返事を返しながらプリンを受け取る。
瞬間彼女の指が自分の手に触れて。
一瞬びくついたが、目の前の彼女は全く気にしている様子がない。

「はい、ウッディーさん」

と、さっさと次に行っている。ふと、手の中にあるプリンの銘柄を見て、

「おい、ウッディー」

小声で、隣の幼なじみに話しかける。灯里にばれないように。

「お前、これ、わざわざ買ってきたろ」

それは浮き島のみで販売している、個数限定の激ウマプリン。
土産としても人気で、店頭に並んでもすぐ売り切れになるほど。
浮き島住人の暁でも、月にそう何度も食べられるような代物ではなかった。

ウッディーも小声で答える。

「昼間の出来上がり時間に、ちょっと仕事を抜け出して買っておいたのだ。
 灯里ちゃんには内緒なのだ」
「…わかったよ」

そんな男ふたりに気付くことなく、

「ささ、アリア社長。食べられますか?プリンですよ~」

と、アリア社長に食べさせてあげている灯里。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


プリンを食べながら談笑…といっても、ほとんど灯里とウッディーの会話で。
暁はただ黙っていた。

何というか、ここに居づらくて。本当なら今すぐ帰ってしまいたかったのだが、
帰るタイミングを逃して、ただ座ってふたりの話を聞き流していた。
…会話なんて、する余裕すらない。

たまに話を振ってくるふたりに、あいまいに相づちを返しながら。


どうしてそんな話になったのか、前後はまったく覚えていない。
だが、その会話が、いきなり暁の耳に飛び込んできた。

「わたしも灯里ちゃんが大好きなのだ!」
「ありがとうございますっ!私もウッディーさん大好きですよ」

息が止まる。心臓が暴れ回り、心の中で暴風が吹き荒れる。
そんな自分の感情に戸惑いながら、この場に居ることがいたたまれなくなって、
「帰る」と立ち上がろうとした。その瞬間。

「ああ!もうこんな時間!
 社に戻るのを忘れていたのだ!早く戻らないと先輩に怒られるのだ!
 それじゃ、これで失礼するのだ。灯里ちゃん、あかつきん」

こちらの返事も聞かずに外に飛び出すウッディー。
灯里があわてて後を追う。

開け放たれた玄関から、表のふたりのやりとりが聞こえる。

「ありがとうございました~ウッディーさん!」
「いえいえ、どういたしましてなのだ。灯里ちゃん!
 じゃ、ハバナイスディなのだ~!」

と同時にエアバイクのエンジン始動音がして、あとの会話は聞こえなくなった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


ひとり。黙々と座って茶をしばく暁。残っていたプリンをかっこむ。
甘いはずのプリンの味も、まったく分からなかった。

「ほんとに風みたいですよね~。ウッディーさんって」

と、ほわほわと言いながら戻ってきた灯里。
それを見ながら、負のオーラをまとわりつかせたまま、思わず問いただす。
自分を止める暇も余裕もなかった。

「あ~~~。………その、もみ子は、ウッディーのこと、好きなのか?」
「ほえ? そりゃあそうですよ。アル君も藍華ちゃんもアリスちゃんも大好きですよ」

 (なんで他の奴らの名前が出てくんだよ)

脳内で突っ込む暁。
次の言葉で、心臓が激しく踊り出す。

「もちろん、暁さんも大好きですよ」

 (!!!!!!)

内心動揺しまくりなのだが、なんとかそれを悟らせないように。
ふんぞり返ろうとしたが、実際にした行動は、

下を向く、だった。

「いや、そ…そりゃありがとよ。で、聞きたいのはそういうことではなくてだな。
 …そ…その、どうなんだよ。ウッディーのこと」
「ほへ?」
「だから!ウッディーのこと、どう思ってんのかって聞いてんだよ!」

勢いよく顔を上げて。何故か半ギレ。

「はひ!大切なお友達ですよ」

そんな暁の心情を知ってか知らずか、明朗快活に言い切る灯里。

「……へ? とも…だち…?」
「? そうですよ。お友達です」

それを聞いた瞬間、ものすごく安堵して。おもわず椅子からずり落ちそうになった。

「ああ、そうか、そうだよな。うん」

ひとりでうんうん頷いている暁。灯里は不思議そうに、そんな彼を眺めている。
先ほどまで難しい顔をしていた彼が、今では満面の笑顔になっている。

 (う~ん。なんだかよく分からないけど、
  暁さんが元気になって良かった)

つられて笑顔になる灯里。
そんな彼女を見ながら、

 (なんで、こいつの気持ちがウッディーを見てるかも…って思った時
  あんなにビビっちまったんだろう



  …ああ、そうか。オレは、こいつが…)


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


「では、暖かくして寝るのだぞ」
「はひ!本当にありがとうございました!暁さん」
「いや。別にこれくらい、どうってことないしな」

そう言いながら、灯里のもみあげに手を伸ばす。
いつものように引っ張るつもりが、思わず優しく弄んでいた。

引っ張られるだろうと身構えていた彼女が、目を丸くしてこちらをじっと見つめている。

「?てっきりもみあげ落としがくるかと思っていました」
「リクエストとあらば、やってやらんこともないがな。…やってやろうか?」
「……遠慮しておきます」
「だいたい、病人に対してそんな非道いことするわけがなかろう。
 オレ様を見くびるな」

いつものように、眩しいくらいに笑いながら、灯里が言う。

「そうですね。暁さん、優しいですから」

一瞬見とれて。すぐに視線を逸らす。赤く染まった頬を人差し指で掻きながら。

「それじゃな。…見送りはいらん」
「ええ~~~」
「いいからさっさとドア閉める!夜風で風邪ひどくなったらどうすんだ、まったく」
「大丈夫ですよ。暁さんから頂いたお薬がありますし」
「ええい!とにかく見送りはいらんからな!じゃあな!」
「はひ!また来て下さいね~~~!」


今の暁にとって、灯里のその一言一言には、凄まじい程の破壊力がある。
夜の闇に隠れてはいたが、実は 彼は耳まで真っ赤になっていた。


しばらく歩いて、街灯の下で振り返ると、玄関はまだ細く開いていて、
暁がこちらを振り返ったのが分かるのか、小さく手を振る灯里の姿。

 (あいつ、さっさとドア閉めろっつったのに)

そう思いながらも、右手を軽く挙げて。

すぐに路地を曲がる。これでARIAカンパニーから自分の姿も見えなくなるし。

 (これでもみ子もおとなしく中に入るだろ)


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


帰り道。

ひとりで浮き島への家路を辿りながら、とあることに気付いて、思わず笑みが洩れる。

「なんだよ。ウッディーの奴」

プリンの数は4つ。オレが来てるなんて思ってなかったら3つでいいのに。
朝、もみ子が風邪をひいたと教えたのも、プリンを4つ買ってきていたのも。

 (ああ、たしかにオレ、鈍いからな。
  だからってお前にそこまで気を回させたってのも癪にさわるな。
  次に会ったら、バリバリ君アイスおごってやる)

ふと見上げると、夜空に月が浮かんでいる。
それを見ながら、


 (結局、とっくの昔に落ちちまってたわけだ。オレ様は。
  仕方ないから、次の休みも、もみあげ引っぱりに行くか)


観念したかのように溜息ひとつ。

もう少し動揺したり、狼狽したりするかと思っていたのに。

一度自覚してしまうと驚くほど素直に、自分の気持ちに正直になれた。



…それを灯里にはっきりと伝えられるかどうかは、また別の問題になるのだが。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


次の日の朝。

「おはよ~~~!灯里ちゃん!風邪はどうなのだ?」
「おはようございます~!ウッディさん!
 あの後アリア社長とふたりでぐっすり寝たので、すっかり良くなりました!」
「そうか、良くなってよかったのだ!はい、これ。
 今日もうちの鶏さんが卵を産んでくれたのだ!」

そう言いながら、後ろの荷台から小さな荷物を灯里に渡す。

「いつもありがとうございます!
 それにしてもここの所、毎日産んでくれるようになりましたね、鶏さん」
「そうなのだ!鶏さんも、やっと家に慣れてきてくれたようで嬉しいのだ!
 そういえば、あかつきん。あれから機嫌なおったかい?」

頭の上にたくさんの?を浮かべて、灯里が答える。

「ほへ?…あああ、なんか難しい顔してたと思ってましたが、
 機嫌悪かったんですか…。でもすぐにご機嫌になってましたよ?」
「それは良かったのだ。
 それじゃ、ハバナイスディ~~~なのだ~~~~っ!」
「は~~い!ハバナイスディ~~~です~~~~っ!」

あっという間に会話を終わらせて、空に舞い上がるエアバイク。

灯里は、そこにいて手を振り続けていた。
しばらくして社屋に戻る小さな姿を眼下に見るウッディー。

 (うんうん。灯里ちゃんも鈍感だからこれから大変なのだ)


恐らく彼女は気付いていないだろう。
自分と暁、それぞれが帰る時、見送る時間が少しだけ違うのを。
これが火炎之番人だったら、その姿が消えるまで見送り続ける。


空を泳ぎながら、自然と笑みがこぼれるウッディー。

「あかつきん、不器用だから、見てるこっちが心配になるのだ。
 まったく世話がやけるのだ。

 それにしても、やっと自覚したみたいで、一安心なのだ」





その後 彼は、親友が告白に頓挫するたびに飲みに連れて行かれることになる。





End.
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2008.08.19.脱稿

以下、あとがきです。


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セルフライナーノーツ  自覚
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途中の 歌劇『水の妖精』 の話は小説ARIA1巻『水の都と哀しき歌姫の物語』より。
一応、未読の方のために軽く説明を。幻の歌劇『水の妖精』を上演するために、当時のパンフレットや楽譜を探す途中で、アッシュと灯里が浮き島に行った際に偶然暁に会い、彼も巻き込み3人で、パンフ探しに奔走する。その後、無事見つかったのと、途中でこれまた偶然会った暁兄のお誘いもあり、暁の実家にお邪魔する灯里。お茶とほかほか焼きたての焼き芋をゴチになる。このへんは、暁灯里好き相模にとって激萌えポイントで。もう何ページに載ってるか暗記するくらい読みましたよ。GJアッシュ!
この時絶対、暁母と灯里は仲良しになったに違いない!本人同士よりも先に親公認!

7/1から書き続けて、今やっと書き上がりました。
ウッディーの卵話、いろいろ妄想しまくりましたが、こんなんになりました。ウッディーがなにげに策士。(策士好きだなオレ)相模設定ではウッディーは大人ですから。そんな彼に、後日バリバリ君アイスを奢る暁。秋ですよ。寒いっつーの。暁なりの感謝と照れ隠しと多少の意地悪ってことでひとつ。
そして灯里のお見送り時間の違い(これまた相模の妄想設定)も書いてしまいました。自分設定を入れ込んでいくこの楽しさったら。

BGMはB’z「衝動」『あなたのすべてが 僕の衝動』
…て、これコナンの曲だったって、ウィキるまで知りませんでした。オレ情報遅っ!

ひそかにおまけあります。くだらないですよ。
それでもOKの方、ありがとうございます。

追記でどうぞ↓


【More・・・】

===================================

おまけ もみ子とあかつきんの突撃3分(?)クッキング

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「ところでもみ子よ。卵酒ってどうやって作るんだ?」
「え~…っと。分かりません。そういえば作ったことありませんし」
「どうすんだよ。…お?なんか入ってるぞ。紙袋の中」

酒瓶が入っていた紙袋に、なにかしらのメモ紙が入っていた。
それを見た暁は、破顔して灯里に見せる。

「さすがお袋。作り方書いてあるぞ」

受け取った灯里も笑顔で答える。

「これで作れますね~!」

◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇

台所に移動する二人。

「では!今から卵酒つくりまーす!
 えーと。まず日本酒をお好みで水で薄めて鍋に入れます」
「ほぉーう。どうする?少し薄めるか?」
「はい、お酒飲んだことないので薄めて下さい」
「おうよ」
「それから砂糖を適量」
「適量ってなんだよ。まったくあいまいな書き方だな」
「いや料理ってそういうもんですし」
「…そうなのか?ま、いっか。砂糖こんなもんでいいのか?」
「はい。そしてこれを一度沸騰させます」
「よいしょと」
コンロに火を付けて。

間。(この間ふたりでしゃべり倒してます)

「おい。沸騰したぞ」
「はい、今度は火からおろして冷ますそうです。70℃くらいに」
「まためんどくせえなあ」
「仕方ないですよ。料理は手間暇をかければかけるほど、
 美味しくなってくれるものなんですよ」
「ふーん。そんなもんなのか」

間。(この間ふたりで以下略)

「冷えたぞ~。よくわかんねえけど、こんなもんでいいんじゃねえか?」
「はい。いいみたいですね。では、次にウッディーさんから頂いた
 卵をよく溶いて入れます。卵を溶くのはもうやっておきましたから。
 さささ。どうぞ」
「…用意がいいな」
「優秀なアシスタントですから」
「てか料理番組じゃねえんだからよ。つーか、自分で優秀て。
 …ま、いっか。よいしょと」
「回しながらかけて下さいね」
「細けえ仕事は苦手なんだよな~」
「いや、そんなに細かくないですから。
 大丈夫ですよ。暁さんはやれば出来る子ですから!」
「…そう言われるのも複雑だなぁおい。
 ていうかオレ様のほうが年上っての忘れてないか?」
「まあまあ。(くすくす)
 そしてそれをスプーンでかき回しながら少し火をいれます」
「んじゃ火つけんぞ。よいしょ」
「もすこし火を小さくしたほうがいいと思いますよ」
「また細けえなあ」
「卵が固まると美味しくなくなっちゃうそうですよ」
「ふーん。なんかいろいろ大変なんだな。料理って」
「そうそう。だからお百姓さんやお料理を作ってくれた人に感謝して食べないと。
 えーと、あとはトロリとなれば完成ですよ」
「ふーん]

しばし火を入れながらかき混ぜる。

[これくらいでいいか?」
「とろみは完璧ですねぇ。じゃあ、味見してみましょうよ。暁さん」
「おう。火 止めんぞ」
「はい」

味見。

「うまっ!」
「おいし~~!」
「おーい!アリア社長!今持ってってやるからな~!
 てかもみ子、オレ様の分もとっといてくれ!」
「はひ~。というよりこんなにあるから大丈夫ですよ」


 (暁さんと料理するのって、楽しいなあ)


End.
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