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2010.09/26(Sun)

心に沁み込む職人と苦しみ続けるラビリンスの物語

 ついったで最近ハマってる「お題」
 大抵は140文字以内で収まるように考えて上げるのが楽しいのですが、このポンさんとこは140字じゃ足りないくらい深読みできたり思考もしくは妄想が限りなく広がったりするお題をくださいます。

 なんやかんやでやってみました。

 私のお題:心に沁み込む職人と苦しみ続けるラビリンスの物語 #odaidepon
 リンクはこちら↓
 お題配布サイトさま「お題でポン」

 今回お世話になった作業用BGMはこちら↓
ニコ動【作業用BGM】FFバトル音楽集



 お読み下さる方は“Read more”からどうぞ。毎度ありがとうございます。


【More・・・】

心に沁み込む職人と、苦しみ続けるラビリンスの物語 #odaidepon お題でポン お題より。

『だいたい貴方はなんなんですか!』
 どこからともなく声が響く。『此処』の声だ。
「なんだと言われても……」
 言われた相手は壁に目線をくれながら、困ったように笑いつつ頭をかく。『此処』にきてそれをするのはもう幾度になるか知れない。しかし声の主は不愉快そうな声音を隠そうともせず続ける。
『あなたが地図なんか作るせいで、私は私の役目を果たせず、め・い・わ・く、してるんです!』
「いやでもそれが私の生業(なりわい)ですから……」
『というより、なんで貴方が『私』に来たんです? 私の本分は『迷わせる』ことなのに、貴方が来てから皆さんさっさと『私』から抜け出てしまって、ほんっっっとうに、もうっ!!』
 声に怒気が含まれる。少しでも宥めるように手近な壁を優しく撫でる。
「あー、すいません。その代わり私が居ますから、それで何とか……」
『なるわけないでしょうっ!!』
 どうやら『彼女』の機嫌はしばらく直りそうもない。

 すっかりへそを曲げて黙り込んだ『彼女』にひとつ微笑と嘆息を残して、彼は止まっていた作業を再開した。刻一刻と変化するこの迷宮の地図をさらさらと流れるように、羊皮紙に書いていく。それはもう書くというより描くに近い。

『彼女』は知らない。何故彼が、わざわざ地図を渡すなどというしちめんどくさいことまでして、迷い込む旅人たちをここから解き放つ、いや、追い出すのか。

 旅人たちに地図を渡すのは、ここを彷徨い、脱出した者の数が増えれば増えるほど、『此処』ひいては『此処に釘付けにされた彼女』の呪いが解けてゆくから。
 しかし『彼女』は 真逆 を信じている。ここで迷う人が多ければ多いほど、元に戻れる日が近づくと言って笑いながら去った、彼女をこんな処に閉じ込めた元凶である気まぐれな『魔』の言葉なんぞを信じている。

(だいたい)
 ふと彼が独りごちる。
(幼い頃から多少憎からず想っていた相手に認めてもらいたくて、手に職を付けようと頑張って、ようやく胸を張れる段階になったからと帰ってきてみれば、当の相手は記憶をなくして迷宮と化してたなんて話、私以外の誰が信じるというんですか)
 聡い彼はうすうす感づいてもいる。彼女に真逆を言った事、自分のする事が彼女を嘆き悲しませる事になるという事実。それさえも『魔』の愉悦と退屈しのぎに他ならないということを。

 そして彼は今日も変わらず、迷い込んだ旅人に、自身が作った地図を渡す。
「頑張って抜けて下さいね」
 とねぎらいの言葉をかけながら。


 いつか終わる、終わらせてみせる、という、淡いけれど強い希望だけを頼りに。



 了



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テーマ : ショート・ストーリー - ジャンル : 小説・文学

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