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2008.10/07(Tue)

浮き島にて 後編

これはARIAの二次創作小説です。ジャンルは暁灯里です。
ご勘弁な方は速攻バックを推奨いたします。

「浮き島にて 前編」の続きとなっております。
未読の方はそちらを先にお読み下さると、ありがたく思います。

それもまた良き哉!な御方。ありがとうございます!↓へどうぞ!


松前城の桜UP03


逢いに行こうと思っていた水先案内人がいきなり家にいて、


狼狽しながら平気なふりしたりと、かなり忙しい火炎之番人の、とある一日。…のつづき。


===================================



   浮き島にて 後編



===================================


玄関ががらりと開き、

「おう!今けえったぞ~~~!」

と威勢のいい声が響く。

 (……親父の奴、帰ってきやがった)

出来れば父と灯里を会わせたくなかった。
絶対、からかうに決まっているから。
しかし、時既に遅く、どかどかと廊下を進む足音と共に爆音が響く。

「お~~!母ちゃんから話聞いてるぞ!お前さんが灯里ちゃんか!
 可愛いな~~!よし!うちの家に嫁に来い!」
「バカか!何言ってんだよ!いいから早く風呂行け風呂!」
「っせーな暁!だいたい親に向かってバカとはなんだバカとは!」

やかましくがなり立てる父と息子に、アリア社長もびびり気味で。
母が仲裁に入るのを、楽しそうに見つめる灯里。

「は~~い!そこまで!灯里ちゃん見てるじゃないの。恥ずかしい。
 父はさっさと風呂に行く!暁はそこのテーブルの上片付ける!
 はい!ちゃっちゃとやりなさい!」

どうやらこの家では母が一番強いらしく、
父と息子はぶすくれてはいるが、それぞれ言われたとおりにする。
その様子が楽しくて、思わず灯里は、

「本当に仲良しさんですね~~~」

とふにゃりと笑う。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


暁は、食事の時間もえらい目にあっていた。
たんびたんびに母が

「もう、今日はあっという間に晩ご飯の支度も終わったし、
 やっぱり女の子がいると違うわ~」

だの、

「それ、灯里ちゃんの手料理。どう? 美味しいでしょ?」

だの、

「ああもう、うちの娘になっちゃいなさいよ!灯里ちゃん!」

だの、とにかく暴走して大変だった。
その度に、飯を喉に詰らせたり、お茶を吹きそうになったり、実際にお茶を吹いたり。
父も一緒になって囃したりするものだから、美味いはずの飯の味もよく分からなくて
かなり悔しい思いをした。

ただ、例の酒を飲んだ時限定の、父の迷惑な癖『男子限定、背中をばんばん叩く』
は、アリア社長のお陰で回避することができた。
アリア社長は父の懐でご飯を食べた後、頭によじ登ったり、肩に乗ったりと、
それはそれは楽しそうに遊んでおり、父も酒を飲みながらそれにかまっていた。
えらい楽しそうだった。

 (なんか、普段のオレとアリア社長みてえだなぁ。
  でも助かったな。
  今度から、親父が飲むときゃ絶対、アリア社長呼ぼう。呼ぼうったら呼ぼう)

心の中でそう決意する暁だった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


 (……なんでこんなことに)

暁は居間でひとり悶々としていた。

トイレに用を足しに行ったら。

どうやら母ともみ子とアリア社長が一緒に風呂に入っている様子。
そりゃ、風呂とトイレは別ではあるが、話し声は聞こえてしまう。

胸がどうとか、スタイルいいとか、肌が白いとか、
健全な青年にはかなり耳に毒な会話が聞こえてきて、
逃げるように居間に駆け込んだ。

はたと気付く。

 (このままでは風呂上がりのもみ子と遭遇してしまうではないか。
  それはまずい。非常にまずいぞ)

…ちなみに父は、すでに居間で高いびきをかいている。
たしかにえらい飲んでいたが、いつもなら朝まで起きて飲んでいるというのに。
今日は、暁も初めて見るほど飛ばしまくって、とうとう轟沈したらしい。
その辺にあったタオルケットを、寝ている父に向かって ぽいっ と投げ掛けて。

 (こっちはこれでいいとして

  問題はオレ様だ。なんとかあいつが風呂から上がる前に自分の部屋に行こう。
  うん、そうしよう)


結局、選んだのは逃げの一手だった。情けない話ではあるが。
だいたい、惚れてる相手の風呂上がり姿など、見るだけでも心臓に悪い。

意を決して廊下に出る。ここから一気に階段まで駆け抜けて、
後は駆け上がって部屋に飛び込めばミッションコンプリート。

走り出そうとした瞬間、脱衣所の扉が開いて。

暁は居間にとって返した。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


 (~~~~っ!だから、なんでこんなことにっ!)

居間で、たいして面白くもないテレビを見ながら、内心穏やかではない暁。
できるだけ普通の表情を装って、頬杖をついて。
隣には、風呂上がりの灯里。のんきに麦茶を飲みながら一緒にテレビを見ている。

 (少しは警戒心とか、ないのかお前はっ!)

母もいるし、父も豪快にいびきかいてるし。
アリア社長もいるから何かが起こることもないのだが。

自宅では兄と同じように、サイドの髪を後ろに縛っている暁だったが、
今日はその表情を隠すために、縛らずにそのままにしていた。
おかげでうざったくてしょうがない。

自分の麦茶のグラスはとっくの昔に空っぽだし、もう夜も遅い。

 (いい加減、この状況をなんとかしてくれ)

母に助けを請うような視線を投げても、母は全く気付かない。
それどころかアリア社長と楽しそうに遊んでいる。

諦めて横を見ると、部屋着でリラックスしている灯里の姿。
風呂上がりで上気しているのか、ほのかに朱に染まった肌。

あわてて視線をテレビに戻す。

 (…助けてくれ)

情けないが、固まったように動けない。

「暁さん、麦茶のおかわりいりますか?」

ふと横から話しかけられて、笑ってしまうくらいびくついた。

「おっ……おう」

そう答えるのが精一杯。

「は~い。ちょっと待ってて下さいね~」

灯里はそう言うと、母にも麦茶のおかわりを訪ねて、
勝手に冷蔵庫を開けることを詫びつつ、台所に向かう。

とりあえず、隣の彼女が席を立ったことに安堵して。
気付けば、手に汗をかいていた。情けないことこの上ない。

「おまたせしました~」

そう言って、麦茶を持って帰ってきた彼女。
自分の中の全てを総動員して、何事も無かったかのように立ち上がり、
これまた何も気にしてないように、お盆から自分の麦茶を取って。

「さんきゅ。遅いし、もう寝ろよ」

そして母に向き直り、

「お袋も、いい加減寝ないと、美容と健康に悪いんじゃねえのか?」
「大きなお世話!」

母の返しを聞き流して、

「じゃ、寝るわ」

そう言って、麦茶片手に居間を後にする。

「はひ、おやすみなさい~!」
「ぷいにゅ~~」

ひとりと一匹に軽く片手を上げて。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


部屋に無事、戻った暁。
今頃になって顔が真っ赤になる。

ものすごく疲れた。まだ心臓が暴れている。
とりあえず居間から持ってきた麦茶を一気に飲んで、一息ついた。

寝ようとしても寝ることも出来ず、昇格試験の参考書など見る気にもならない。

しかたないから、布団に横になりながら、
母から勝手に借りた『季刊 浮き島生活』を眺めて。

やはりかなり疲れていたらしく、少しずつ、うとうとし始めて。


いつの間にか眠ってしまった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


「……さん……かつきさん……あかつきさ~ん」

誰かが自分を呼んでいる。そう思って、少しだけ目を開けた。

「……ん……んぁ?…さくら…いろ?」

と、訳の分からない事を呟いて、目の前の桜色の束に手を伸ばす。
それは、とてもよく手になじんだ。
さらさらとした感触に心地よさを感じつつ、片手で弄び続けながら。

眼前に見慣れた顔。やたら近いような気がする。

徐々に覚醒していく意識。


間。


「~~~~~~っ!!!」
「あ、おはようございます。暁さん。やっと起きましたね~」

もう隠せないくらい真っ赤になって飛び起きる暁。

「なぜにお前がここにいる~~~~~~っ!?」
「えええ~~~~っ」


暁の部屋はその会話で騒がしくなり、ほどなくして静かになる。


「ぜぃ、ぜぃ…。あ…あのな…、よ…嫁入り前の娘が、
 ほいほいと男の部屋に入るもんじゃないぞ。なんか、その、いろいろ、
 …わかんだろ?」
「はあ、すみません。でもこういうの、なんか楽しいですね。
 えーと、…寝起きどっきり?」


「………っ!あほ~~~っ!!!」


そう言いながら、本日一発目のビッグダブルもみあげ落としをお見舞いする暁。

「はひぃぃぃ~~~~っ!」

大技の後、解放された自分の髪をすばやく掴んで防御態勢を取る灯里。

「しかも顔が近いっ!起こすのにあんなに顔よせなくてもいいじゃねえか!」
「それは暁さんが人の髪で遊んでたせいですよ」
「~~~っ!そっ、そんなの振りほどけばよかっただろが!」
「でも気持ちよさげでしたから、それも悪いかなと思って」


多少の大騒ぎの後。

「なんでオレの部屋来てんだよ、お前」

ようやく普通の会話。

「はい、暁さんのお母さんに『起こしてきて』と頼まれまして」
「………お袋め……」


多少控えめではあるが、きょときょとと部屋を見回している灯里。

「…そんなにめずらしいか?」

暁の部屋はそれなりに片づいていた。…昨日慌てて片付けたからだが。
机の上だけは筆記用具が散乱していて、
そこに、火炎之番人昇格試験の参考書が一冊と、雑誌が一冊載っている。
それに視線を止める灯里。彼女の視線を追って机の上を見て、またしても動揺する。

 (やややややっやばいっ!
  なんでしまい忘れてんだよオレ!)

そこには、目の前の彼女が表紙の月刊ウンディーネ。
どうにかして隠そうとしたが、もう手遅れで。

「これ、初めて私の特集が載った月刊ウンディーネですね~。
 わーひ!持ってて下さってるんですねっ!ありがとうございます~! 」
「いいいいやっ! これ、オレ様も載ってるから、それで持ってるだけで」
「そうそう、暁さんも格好よかったですよね~」
「取って付けたように言わんでもいいっ!」
「そんなことないですよ。それでも嬉しいですね。やっぱり」

そう言って、朝っぱらから眩しいくらいに笑う灯里と、そんな彼女に見とれる暁。
保存用にもう一冊買ってあるなんて、口が裂けても言えない。


話を変えるために、もう一冊の本を手に取ってぱらぱらと捲る。
こっちは使い込まれていて、あらゆる所から付箋が飛び出している。

「それって、火炎之番人の試験の…?」

興味を示す灯里。話を変えよう作戦が成功したらしい。
内心安堵しながら、その本を灯里に差し出す。

「多分、訳分かんねぇと思うぞ。見てみるか?」
「はひ!見せて下さい。暁さん、普段どんなお仕事しているのか知りたいですし」
「…さぼってねぇぞ」
「だれもそんなこと言ってないじゃないですか~」

やわらかく笑いながら、本を受け取り、ゆっくりとページを捲る。

「……………」

さらに捲る。

「……はあ」

溜息と共に、彼女は本をぱたんと閉じた。
その本を暁に返す。

「な、訳分かんねぇだろ?」
「はひ。なんか気温とか気圧とかエイチ…hPa、とか訳が分かりません」
「ああ、ヘクトパスカルな。
 でも、これ分からねぇと一人前になれないからなぁ…。ああ、面倒くせえ…」
「暁さんて、意外に頭いいんですね!」

”意外”という言葉に引っかかりを覚えた暁は、
いつものように彼女のもみあげを捕まえつつ。

「一言余計だっつーの」
「はひ~。髪引っ張るの禁止です~~」


そんないつものやりとりの後、ふと、枕元にあった雑誌に目をとめる灯里。

「これ、見てもいいですか?」

と『季刊 浮き島生活』を指さす。

「ああ、いいぞ」

そう言って、着替えるためにおもむろに上を脱ごうとして。

「……おい」
「はひ?」
「ここで読むのか?」
「はひ。だめですか?」
「…てか、着替えるから」
「あ、おかまいなく」

「……おかまいなく、じゃ、ねーだろ~~~~っ!」

そう叫び、雑誌を持たせて、灯里を部屋から追い出した。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


部屋に残った一人…と、一匹。

「あれ、アリア社長。いつの間にいたんだ?」
「ぷぷいにゅ」

思わずアリア社長の前にしゃがみ込んで、

「なあ…。オレ、男として見られてないんじゃ…」

とうなだれる暁。
その頭を柔らかい肉球でぽぷよんぽぷよんと軽く叩きながら、

「ぷいぷいにゅ」

…どうやらなぐさめてくれているらしい。

「そうだよな。そんなこたぁないよな!」

何となく言ってることも分かるようになっているあたり、
すでにマブダチな一人と一匹だった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


着替えをすませて、階下に降りる。
灯里はすでに台所にいて、母の朝食作りの手伝いをしていた。

そのまま洗面所に行って、洗顔やら歯磨きやらを済ませて。

居間に行くと、とっくにいると思っていた親父がいない。

「あれ?親父は?」
「とっくに食べて、朝の腹ごなしに散歩だかジョギングだかに行ってるわよ」
「……うわ。無駄にタフだな。相変わらず」
「あれだけ寝りゃ、ね」
「……。確かに」

そこへ、灯里がぱたぱたと朝食を持ってやって来た。

「はい。おまたせしました~」
「お。さんきゅ」
「ぷいにゅ!」

のどかに朝食を食べる三人と一匹。

昨日の夜と違って、母も暴走しないし、飯も美味いと感じながら食べられるし、
ひそかにご満悦の暁だった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


食後、先ほど貸した雑誌を読んでいる灯里。
とあるページで手が止まり、食い入るように見つめている。
それは、浮き島の上層にある桜の名所の写真。

「あ、そこね。今が一番の見頃よ。後で暁に案内させるから行ってみるといいわ」
「はひ!是非行ってみたいです!」
「…あ゛? なんでオレ様が案内って話になるんだよ」
「あんた、今日休みでしょ? 母はこれからご近所の会合があるから行けないの。
 残念だけど、あんたに任せるから、粗相するんじゃないわよ」
「オレの都合は無視かよ」
「今日のあんたに都合なんて、灯里ちゃんの案内以外ないでしょ。
 だいたい今日だって、灯里ちゃんに会いに下に行こうと思ってたんじゃないの?」

それを言われた途端、真っ赤になって、

「ななななななにをっ!」

結局、それ以上何も言えなかった。

横には、きょとんとした顔の灯里。

「でも暁さん、いつも ”近くまで来たからついでだ”って
 言って来てくれてるんですが…」
「ふふふ。それはね~。暁の照れ隠しなのよ。
 本当は灯里ちゃんのところに行くのが目的なんだから」
「わ~~~わ~~~わ~~~っ!」

必死に大声を出して、母の言葉をかき消す暁。
母の言葉が聞こえたのか聞こえなかったのか、
微笑む母と慌てる暁の様子を見て、柔和な笑顔を見せる灯里。
そんな彼女に、頬の紅潮が押さえられない暁。

そんなふたりを見て、母も柔らかく笑う。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


お昼少し前。普段着のままの暁が、

「おい、出掛けんぞ」

いきなりぶっきらぼうに言い放つ。
灯里はびっくりした顔をして、言葉を発した彼の顔を凝視した。

「はひ?もしかして、桜の名所に連れてってくれるんですか?
 …てっきり面倒くさそうだったから行かないのかと思ってました」
「ええい。お袋に頼まれたからしかたなくだ、し・か・た・な・く!
 さっさと用意しろ!おいてくぞ!」
「えええ~~~~っ!先に言っといてくださいよぉ~~~」

情けない声を出しながらあわてて支度を始める灯里。
その横で、なんやかんや言いながらも、おとなしく待つ暁。
そんな彼の肩には、すでにおめかしを終えたアリア社長が乗っかっていた。


しばらくたって、出雲家の玄関が開き、
用意を終えたふたりと一匹が出てきた。

「まっったくっ!何分かかってんだよ。こーゆーときはダッシュだダッシュ!」
「そんなこと言っても、女の子の用意は時間が掛かるものなんです!」


痴話喧嘩とも思える会話をしながら浮き島の外郭を回る電車乗り場へ向かい、
上層の桜の名所へ向かった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


上に着いて、すこし歩いた。
すぐに目の前全てが桜色に染まる。

「………うわぁ~~……すごい…きれい………」

思わず感嘆の声を洩らす灯里。
そんな彼女を横目に見ながら、周りを確認する暁。

今なら誰もいない。告白するなら今しかない。
…そうは思ってみるのだが。

肝心なところで臆病な自分に、いつもながら がっかりする。


「ぷ~~~~~っ!ぷい~~~っ!」

いきなりアリア社長の情けない声が響く。
ふと見下ろすと、顔についた桜の花びらを取ろうとしてひっくり返っている社長の姿。
手が届かなかったらしい。

「おーい。大丈夫か~? 少し痩せた方がいいぞ、アリア社長」

そう言いながら、ひっくり帰ったアリア社長を抱き上げる暁と、

「そうですねー。ちょっとダイエットしましょうか?アリア社長」

いつものように、アリア社長にとって衝撃的なことをほんわかと言いながら、
顔についた桜の花びらを取ってあげる灯里。

「ぷぃ~……」

アリア社長はというと、涙目になっている。ダイエットしたくないというように。
そんな社長をふたりして代わる代わる撫で、また桜へと目をやる。


しばし桜に見とれていた灯里が、いきなり暁に向かって言った。
まっすぐ彼を見つめ、胸のあたりで両手を組んで。

「来年も一緒に来ませんか?」
「へ? 別にいいけどよ」

“別にいい”なんて言ってしまったが、本当は暁自身からそれを言おうと思っていた。
先に言われて安堵しつつも、すこし悔しい。
それと同時に、同じ事を考えていた事に浮き立つ気持ちを覚えつつ、

「…いっそ、毎年来るってのはどうだ?」

思い切って言ってみた。断られたらどうしようと思いながらも。

…でも心のどこかで、断られることはないと確信していた。
思い上がりと言われるかも知れないが。

「はひっ!喜んで!!」

即答する灯里。

ふたりして、密かに頬など染めながら。

お互いがお互いを想いつつ、なかなか進展しない日々。
それでも、一歩前進したことになるのだろうか。





この時から、毎年必ずここを訪れるようになる二人。
それは結婚後も、家族が増えた後も続くことになる。





END.
===================================
2008.10.06.脱稿
2008.10.07.筆削

以下、あとがきです。




【More・・・】

===================================
セルフライナーノーツ  浮き島にて
===================================

7/17にnes様よりコメント(というかネタ)を頂き、同日から書き始めて約3ヶ月。とうとう完成しました!大変おまたせ致しました!(nes様ありがとうございます!)
2000Hit記念ということで何とかひとつ。

今までで最長です。いつものように前後編に分けてしまいました。
もう少し長くなったらそれこそ前中後編の三部作になるところでしたよ。危ない危ない。
途中、他のSSも上げたりしてしまったので、実質2ヶ月半かかりました。
本当に遅筆で申し訳ないです。

しかも暁父、ねつ造しましたよ。イメージ崩して大変申し訳なく思いつつ、いつものように突き進むわたくし。無理だ止まれん。

文中に出てきた月刊ウンディーネは、市販された「月刊ウンディーネ6号」だったりします。灯里の特集号ですね。他は買いませんでしたが、この月ウンだけは買ってしまいましたよ。
(以下私信→すみませんnes様!説明が足りませんでした~。拍手御礼の時に再度お詫びを)
巻末の「街角インタビュー」が、狙ったように暁さんでした。見たとき心臓とまるかと思いましたよ。こいつのおかげで、暁が炉端部所属だとか、父親も火炎之番人だとかが分かったので、とても役立ちました。ネットで通常価格の1.5倍で買いましたが(普通に買えばよかったのに)それ以上の価値がありました。良かった良かった。しかも付いてきたアリア社長のフィギュアも、「星占い」の時の衣装だったし。(もうひとつはなんだったけかな…)

今回書けなかった浮き島名物があるので、(て、これもnes様から頂いたネタですが)次回、書きたいなどと思っております。
のんびりまったりペースですが。
拍手御礼は次回、通常の日記でいたします。ありがとうございます。

BGMは、毎度おなじみB'zの「永遠の翼」
「永遠の翼広げ ただ君のためだけに まばゆいその笑顔が 消えないように願いながら
 永遠の翼があるなら 清らかな風に乗って
 いつかくる優しい未来を 胸に描き 信じながら はばたいてゆこう」


妄想が暴走しっぱなしでありますが、お気に召しましたら幸いです。
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テーマ : 二次創作小説 - ジャンル : アニメ・コミック

11:47  |  ARIA小説  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

●Re: 突然で

秋風様

こちらこそはじめまして。
拙宅の小説を全て読んで頂けたのみならず、さらにコメントまで! ありがとうございます!
ARIAは名作ですから、はまるのに遅いなんてことはありません。大丈夫です!
(そんな私自身も、完結するちょっと前にはまりましたから……汗)

自分の小作品でキュンキュンして頂けて嬉しいです。(照)
もう髪ばっさばさのあかつきんとか想像しただけでにやけてました、私自身も。

もうすっかりSSもご無沙汰になってしまっていましたが、新作期待と言って頂けて本当にありがたいです。
正直もう受容はないか、と思い、今後は自分の自己満足でUPするだけだと思っていました。正直削除を考えたのも一度や二度では無かったので……。でも消さないで良かったと思えます。

本当にありがとうございました!
相模水門 | 2010.12.12(日) 04:27 | URL | コメント編集

●突然で

どうもはじめまして。秋風です。
最近アリアにはまってしまった時代遅れな初心者です……はい。

なのに……やばいです。
原作の前に暁灯里にはまってしまった。
水門様の小説読んで、
人前に出れないほど顔がにやけてます(笑

まじやばいっす(笑

掲載されている小説をすべて読んだのですが、
この「浮き島にて」が一番好きです。
とくに、暁の反応が(笑
水門様の書くものは、キュンキュンできて大好きです!
笑えて……というより、にやけてですが(笑)大好きです!
個人的に髪下した暁好きですっ!

言いたいことだけ言って、支離滅裂な文、失礼いたしました。
新作にめちゃ期待してますっ!!
秋風 | 2010.12.10(金) 01:59 | URL | コメント編集

●はじめまして

どうもありがとうございます。悶えて頂けるとは、書いてて良かった。
最近本当にそう思います。
私の書く暁を気に入って頂けて、嬉しいったらありません。
いや、暁って本当に書きやすい!一挙手一投足が手に取るように分かるんです。何故か。
やっぱり、最愛だからでしょうかね。それとも似てるから?へたれなところもわたくしとそっくりですからねぇ、彼は。

またのんびりと更新して行きますので、お暇な時にどうぞ!
ありがとうございました!
相模 | 2008.10.08(水) 18:34 | URL | コメント編集

はじめまして!
最近暁灯里に嵌って、こちらのサイトを見つけて。
小説を読むたびにパソコンの前で悶えてます(←変な人

「浮き島にて」も早速読ませて頂きました。
水門様の書く暁さんが最高すぎます・・・!(爆笑
灯里の言動であたふたして、母には翻弄されて。
燃える男に幸あれ(笑
他の名物も気になりますね。灯里を案内して、そこでアル君とか誰か知り合いに会って弁解してる様が浮かびます(笑
私の中で火炎之番人はどうもへたれになってしまいます^^;

次回策も楽しみにしてます。では失礼致しました。
ねここ | 2008.10.08(水) 17:13 | URL | コメント編集

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