07月≪ 2017年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031
--.--/--(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑
2008.10/07(Tue)

浮き島にて 前編

これはARIAの二次創作小説です。ジャンルは暁灯里です。
ご勘弁な方は今すぐバックを推奨いたします。

それもまた良ろし!な御方。ありがとうございます!↓へどうぞ!


ラピュタみたい02


ようやく自分の気持ちを自覚して、


告白してしまいたいのに、毎回撃沈する日々の途中。


===================================



   浮き島にて 前編



===================================


  その日の目覚めは最高なんだか最低なんだか、よくわからなかった。



  桜色の頭髪の持ち主が、なぜか家で…エプロンなんかしやがって、
  出勤する支度を終えて居間に降りてきたオレの足音を聞いて、
  くるりと振り向くと、いつもの鮮やかな笑顔で。

 「あ、暁さんおはようございます~~!早く朝ご飯食べて下さいね。遅刻しますよ」

  なんて言いやがる。あまりにもびっくりして、

 「なっ…ななななんでもみ子がオレ様の家に…?」

  思わず後ずさって壁にへばりついて。

  夢なのか現実なのか分からなくなった。


  オレ、結婚した? 親と同居してるっけ? それとも同棲か?
  いつ申し込んだ? つうかたしかまだ告ってもいませんが?


  なぜか最後敬語になりつつ、混乱した思考を整理しようと努力する。
  しかしまったく効果がない。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


はっ と気付くと、自分の部屋の いつもの天井。
それを見て、やっと夢だったと気付く。



のろのろと身体を起こして、顔にかかる長い黒髪をかきあげながら、
窓の外に広がる、春特有の淡い色調の青空を見やる。

やけにリアルな夢だった。


 (あいつと一緒になったら、毎日あんな感じなんかな)


などと、ぼんやりと考えてしまい、

とんでもない想像をしていた自分に気付いて、真っ赤な顔で黒髪を乱暴に掻き回す。


 (くそっ!もみ子のやつ。オレ様の夢に勝手に出てきやがって!)


あまりにも理不尽な苛立ちと、思わず想像してしまった未来への憧憬。


それらを断ち切るように頭を乱暴に振ると、
仕事の用意をするために勢いよく布団から出た。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


通勤途中、歩きながら、いつもの場所から地上を見下ろす。
それはいつから始めたかわからない。だが、今では暁の日課になっている。
そこからなら、豆粒のように小さくではあるがARIAカンパニーが見える。

地上全て、水面が反射する光でキラキラと眩しく、

 (そうか…下は今、アクアアルタだったな)

と、春の気象現象の名を思い出す。ふと、足を止めて、灯里との会話を思い出す。

 (そういやこないだ、もみ子のやつ

「アクアアルタ中は水先案内人も開店休業になるんですよね~。
 危なくて舟出せませんし。
 だからこの間に溜まっちゃった事務仕事とか片付けようと思ってるんですよ」

  なんて言ってたな。そんなに溜めてもいねえくせに)


最近の暁は、何故かARIAカンパニーの買い物に付き合ったり、
 <当然のように荷物持ちまで引き受ける>
仏頂面で、でもてきぱきと事務仕事の手伝いをしたり、
 <早く終わらせれば話もゆっくり出来るだろうと思って>
まるで3人目の社員のようであった。

なので、たまった事務仕事の量も容易に想像できたのである。


 (明日休みだし、また下に行ってみっか)

そして、また歩き出す。彼自身の職場に向かって。

着いてすぐ仕事に取りかかる暁だったが、
桜色の頭髪の持ち主の鮮やかな笑顔が、頭から離れることがなかった。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


終業時刻になり、珍しく定時で上がれた暁は、家路をのんびり帰っていた。
いつもの場所で地上を見下ろす。普段は歩きながらだが、
今日は何故か、行きも帰りも足を止めて。

じっと、視線の先にあるARIAカンパニーを見続け、

ふと、今から下に行こうと思い立つ。

 (いきなり行って驚かしてやろう。とりあえずもみあげを引っ張ってだな…)

思い立ったら即行動派の暁は、立ち止まっていたその場所から、
家に向かって駆け出した。


家にたどり着いて、すぐにブーツを脱ぎ捨て風呂場に直行。
毎日釜場で汗だくになる仕事柄、家に着いたらまず風呂というのが
ほとんど全ての、炉端部所属火炎之番人の習慣だった。

しかも、これから下へ行こうと急いでいた暁は、
玄関にきちんと揃えて置かれていた見慣れない靴に気付かなかった。

「ただいま帰った~~」

いつものようにおざなりに言いながら、廊下を歩く。

「おかえりなさい~」

と答えた声がいつもの母の声ではないが、気にせずに
居間が見える廊下をどかどかと通り過ぎて、風呂場へ。
居間にいた母の髪の色も、いつもと違うような気がしたが、
これまた深く考えることはなかった。

とにかく急いでいたのだから。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


風呂から上がってさっぱりして。とりあえず脱衣所に常備してある部屋着に着替えた。
…といっても暑いので、上半身は裸のままだが。

風呂上がりの汗が引いてから、用意して出掛ければいい。
そう思っていた。

冷たい麦茶でも飲もうと台所へ。
頭をタオルでがしがし拭きながら、どかどかと廊下を進む。
やかましいことこの上ない。

本当ならビールでも飲みたいところだが、これから出掛けるので思いとどまり、

「とりあえず麦茶麦茶っと…」

などと独り言を言いながら居間に入って、そこでフリーズした。

「あ、暁さん。おじゃましてます」
「ぷぷいにゅ」

母と向かい合って座る見慣れた顔。となりにはこれまた見慣れた火星猫。
三人揃ってのんきにお茶など飲んでいる。

一瞬の沈黙の後、暁の大声が居間に響きわたる。


「なぜにお前がここにいる~~~~~~っ!?」

すぱーーーーん!

間髪入れずに平手で息子の頭をひっぱたく暁母。
さすが母親。息子のパターンを読み切っている。

「やかましいっ!少し落ち着きなさい!」

これから会いにいこうと思っていた水先案内人が自宅にいることに動揺し、
混乱の極みにいた暁は、母の一撃でとりあえず落ち着くことに成功した。

そんな母と息子を見ながら、灯里が口を開く。柔らかく笑いながら。

「ほんとに仲が良いですね~。見ているこっちまで暖かくなります
 まるで……」
「そこっ!恥ずかしいセリフ禁止だ禁止っ!」

ずびしっ!と灯里を指差して断言する暁。風呂上がりとは別の意味で頬が赤い。

「えええ~~~!まだ言ってないじゃないですかぁ」

頬を紅潮させたまま、その反論を聞き流し、
台所に行って、適当なグラスに麦茶を注いで、
灯里のいる居間へと向かう、その前に。


何度も深呼吸して、頬の熱さを消した。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


「んで?なんで貴様がここにいるのだ?」

どかりと灯里の斜向かいにあぐらをかいて、半眼で質問する。
すかさず母に殴られた。

「まったく!あんたはどうしてそう失礼なの!
 灯里ちゃんは母のお客様なんですからね。いいかげんにしないと殴るよ」
「もう殴ってるじゃねぇか」

漫才のような会話を楽しそうに聞きながら、灯里が暁の問いに答える。

「アクアアルタで暇してまして、思い切って今日と明日をお休みにしちゃったんです。
 そしたら暁さんのお母さんから、浮き島に遊びにおいでと
 お誘いのお電話を頂いて、すぐに用意して来ちゃいました」
「そうそう、休みだったら泊まりにおいでって電話したのよ」

「ふーん、そうか。………て、
 泊っ…………


 泊まるのかっ!?」


「はひ。お泊まりセットも持ってきましたよ。ちゃんと」
「だから、そういうことではなくてだなっ!」

真っ赤になって灯里に詰め寄る暁。そこへ母の一言。

「だれが嫁入り前の灯里ちゃんを飢えた狼の前に晒しますかっ!
 灯里ちゃんは母と一緒に寝るんだから。ね~~~~」

と言って灯里と母は一緒に微笑む。
そこへ空しく響く、暁の魂の叫び。

「飢えた狼ってなんだよっ!オレ様がそんなことするかっ!自分の息子をちったあ信じろっ!」
「ど~だか~。男の子だしねぇ。だからあんたは今日、父と一緒に寝なさい」


間。


「!!いやだ~~~~っ!!
 親父、絶対浮かれて酒飲みまくるじゃねえかっ!
 あの酒乱と一緒に寝るなんて、絶っっっ対いやだからな!」

暁の父は酒乱ではない。酒豪である。ただ、飲むとかなり陽気になり、
「うわはははは!飲んでるか~~~~っ?」と言いながら
隣の人物(男に限る)の背中をばんばん叩きまくるのだ。
そして、上機嫌になればなるほど、底なしになり、
挙げ句の果てに朝まで飲まされる羽目になる。

思わず、母に確認。

「明日、親父のシフトは?」
「残念ね~。お休みです」
「………」

 (飲む。今日の親父は絶対に飲みまくる。下手すりゃ朝までコースだ)

絶対、親父の隣には座らねぇ。暁は固く心に誓った。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


居間で、流れているテレビを見る暁。しかし内容はまったく頭に入ってこない。
原因は、台所で母と楽しそうに料理などしている水先案内人にあった。

思わず、今朝の夢を思い出す。

 (あれ、正夢だったのか…)

桜色の髪を揺らしながら、エプロンなんぞして、人ん家の台所に立っている。

 (心臓に悪いったらありゃしねぇ)

自分と同じように暇を持て余しているアリア社長をかまいながら、
仏頂面のまま、頭の中ではぐるぐると、しょうもないことを考え続けていた。

 (これじゃまるで、新婚夫婦、旦那の実家に帰って来たの図じゃねえか。
  とりあえず、告るよりも前に嫁姑問題が片づいたってやつなのか?
  いやいやいやいや!いくらなんでもそれは想像が飛躍しすぎだろ。オレ!)


アリア社長と戯れる暁を、時折台所から見ている灯里。
自覚しているのかいないのか、とても幸せそうな笑顔で。
さらにそれを微笑ましく見守る母。

ふと、灯里の視線を追って息子の姿を見た後、おたまを手に居間に行き、

ぱか~~ん!

と殴りながら一言。

「あんた!風邪ひいたらどうするの!いいかげん服着なさい!」

上半身裸の暁は、そこで初めて しまった という顔をして、

「やべっ!忘れてた!」

と言いながら、自室に向かって駆け出した。
一緒についていくアリア社長を見送りながら、やれやれという感じで灯里を見る暁母。
それを見て灯里もふにゃりと笑う。


◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇


自室に戻って、あわてて部屋着をあさる。その横でアリア社長が転がって遊んでいた。
ついでに多少生活感溢れた部屋をダッシュで片付ける。

ここに彼女が入るとは思えないが、

 (もしもってこともあるし…って、もしもってなんだよオレ!)

真っ赤になりながら、とにかく押し入れに突っ込んだ。
部屋の片隅にある机の上だけは気付かずそのままに。

「よし。こんなもんか」

あらかた片付いた部屋を見渡して、ひとり頷く暁。

「いくぞ~。アリア社長」
「ぷい」

部屋を後にする暁とアリア社長。


無人になった部屋。

片付け忘れた机の上には、多少散乱した筆記用具と昇格試験の参考書と。
水先案内人”遥かなる蒼”が表紙の、月刊ウンディーネがあった。


===================================

「浮き島にて 後編」に続きます。
お気に召しましたら、続きをどうぞ。

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作小説 - ジャンル : アニメ・コミック

11:49  |  ARIA小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

この記事のトラックバックURL

→http://dameningensagami.blog95.fc2.com/tb.php/60-a97be74a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。